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キャッシュフロー

キャッシュ・フロー計算書

たとえ黒字でも、お金がなければ会社は倒産してしまう!

キャッシュ・フロー(C/F)計算書
  • キャッシュ・フロー計算書は、 会社のお金の流れをみる計算書です。
  • 貸借対照表と、 損益計算書だけでは、お金の流れはわからない。
  • 売上げても未収になっている売掛金や、 受取手形では現金になっていません。しかし、決算では「発生主義」といい、相手に引渡した時点で売上に計上し、利益にしなければなりません。
お金をもらっていないのに利益だけ発生します。
  • しかし、 経費や人件費はすぐに支払わなければなりません。
会社の利益と、お金がある・ないのでは資金繰りはちがう。
  • 売上代金の回収は遅く、費用の支払は早い場合は注意しましょう。
売上代金の翌々月決済や数ヶ月先の受取手形など。
「勘定あって、 銭足らず」
  • 会社は黒字だから倒産しない。赤字だから倒産する。というものではありません。資金繰りができなくなったときに倒産します。
  • 上場企業以外は 「キャッシュ・フロー計算書」 の提出は義務付けられていませんが、キャッシュ・フロー計算書でお金の流れを把握しましょう。
お金の流れは、ゴマカシがきかない
  • キャッシュ・フロー計算書は、損益計算書や貸借対照表と違い"ゴマカシ" ができません。
  • キャッシュ・フロー計算書は、損益計算書や貸借対照表と違い操作が容易にはできず、粉飾しにくいからです。
粉飾決算…利益を出すために、棚卸資産を多めに計上したり、まだ、売上予定なのに売上・売掛金としたりすることです。
キャッシュ・フローには、3つの要素がある
  • キャッシュ・フロー計算は、次の3つの要素があります。
1. 営業活動によるキャッシュ・フロー(営業C/F)
2. 投資活動によるキャッシュ・フロー(投資C/F)
3. 財務活動によるキャッシュ・フロー(財務C/F)
営業活動キャッシュ・フロー
  • 会社の営業活動によって生じるお金の流れです。損益計算書の営業利益に相当します。
  • 営業活動キャッシュ・フローの計算方法
税引前当期利益   100 :基本にする
減価償却費 + 5 :実際にお金が出ていない
売上債権 - 10 :実際にお金が入っていない
棚卸資産 - 2 :売れずに残っていて、
お金は出ている
仕入債務 + 10 :実際にはお金が出ていない
    103 となる
前期ベースで計算する場合は、各項目について増加分、減少分をプラス、マイナスする。
売上債権は、売上代金の翌々月決済や数ヶ月先の受取手形など。
仕入債務は、 仕入代金の翌々月決済や数ヶ月先の支払手形など。
  • キャッシュ・フローが営業利益より大きく下回る場合は、売上債権が回収できない。棚卸資産(在庫)ばかりが増えて売上が伸びないなどの理由が考えられます。
  • 営業キャッシュ・フローは、多ければ多いほどよいが、マイナスになっている場合は、次のことが考えられます。
1 本業で全く儲かっていない。
この場合は、 損益計算書の営業利益もマイナスになっている場合が多い。
2 仕入などに出ていくお金が、売上代金回収によって入ってくるお金に追いつかない。
この場合は、 損益計算書の営業利益はプラスになっている場合が多い。資金の調達さえしっかり確保できれば、当面安心です。
投資活動キャッシュ・フロー
  • 会社の投資活動によって生じるお金の流れです。
  • 投資活動キャッシュ・フローの計算方法
投資項目となる有価証券や有形固定資産の購入・売却をプラス、マイナスする。
  • 投資活動キャッシュ・フローは、普通はマイナスになります。会社は、常に将来の利益を得るために投資をつづけるからです。
  • 投資活動キャッシュ・フローがプラスになる場合は、土地や店舗などを売却したりするときです。事業が縮小傾向にあることを意味します。
フリー・キャッシュ・フロー
  • 本業でもうけたお金のうち、投資にまわしてもまだ余っているお金をフリー・キャッシュ・フローといいます。
  • フリー・キャッシュ・フローの計算は、営業活動キャッシュ・フロー+投資活動キャッシュ・フローです。
  • これは、会社が自由に使うことができるお金です。
財務活動キャッシュ・フロー
  • 会社の財務活動によって生じるお金の流れです。
  • 財務活動キャッシュ・フローの計算方法
財務項目となる短期・長期借入金の借入 ・ 返済をプラス、マイナスします。
また、 株式の発行・取得、社債の発行・償還も同様です。
  • 財務活動キャッシュ・フローのマイナスは、一般には借入金などの返済が進んでいることを表し、逆にプラスの場合は、借入金などが増えていることを表しています。
  • 財務活動キャッシュ・フローがプラスで、投資活動キャッシュ・フローがマイナスの場合は、設備投資のために資金調達したと考えられます。
  • 営業活動キャッシュ・フロー投資活動キャッシュ・フローの額より財務活動キャッシュ・フローのマイナスが大きい場合は、会社全体のお金が減っていることを意味します。
キャッシュ・フロー計算書のまとめ
  • 営業財務活動キャッシュ・フローは、 プラスでなければならない。
急成長している会社の場合は例外
  • 投資活動キャッシュ・フローは、 普通はマイナスとなる。
プラスの場合は、その理由に注意
  • 財務活動キャッシュ・フローは、 営業財務活動キャッシュ・フローと投資活動キャッシュ・フローの兼ね合いで判断します。
キャッシュ・フロー計算はいかがですか?
キャッシュ・フロー計算書の具体例
営業活動によるキャッシュ・フロー計算書
  第一期 第二期 第三期
税引前当期純利益 139 500 1,000
減価償却費 10 20 62
受取利息及び配当金 △1 △2 △4
支払利息 1 20 50
貸倒引当金の増加額     10
賞与引当金の増加額     100
退職給付引当金の増加額     30
固定資産除却額     5
売上債権の減少(▽増加)額 △3 △170 △900
棚卸資産の減少(▽増加)額 △20 △80 △755
仕入債務の増加(▽減少)額 50 130 420
小計 149 418 18
利息及び配当金の受取額 1 2 4
利息の支払額 △1 △20 △50
法人税等の支払額   △56 △200
合計 149 344 228
投資活動によるキャッシュ・フロー計算書
有価証券の取得による支出   △200  
有価証券の売却による収入     210
有形固定資産の取得による支出 △500 △160 △3,050
無形固定資産の取得による支出 △5   △25
貸付による支出   △10 △40
合計 △505 △370 △2,905
財務活動によるキャッシュ・フロー計算書
短期借入金の純増減額     200
長期借入金の収入 600   800
株式の発行による収入 300   1,000
配当金の支払額     △10
自己株式取得による支出     △10
社債の発行による収入     △1,000
合計 900   2,980
現金及び現金同時物の増減額 544 △26 △153
現金及び現金同時物の期首残高   544 518
現金及び現金同時物の期首残高 544 518 365
キャッシュ・フロー計算書を使った分析フロチャート

A社

営業CF + 財務CF + 投資CF +
分析 :
本業でキャッシュを獲得しているものの、 固定資産を売却し、 借入金も増えているのが気がかり。
良好

B社

営業CF + 財務CF + 投資CF -
分析 :
本業でキャッシュを獲得し、借入金も圧縮している。投資CFのプラスが多少気になるが、問題となるケースは少ない。
良好

C社

営業CF + 財務CF - 投資CF +
分析 :
本業でキャッシュを獲得しているが、投資資金が営業CFプラスだけでは補えないため、借入をしてまかなっている。将来の収益のために積極的に投資を行っている「前向きな資金需要」なので財務CFはプラスでも問題なし。
要注意

D社

営業CF - 財務CF + 投資CF +
分析 :
本業でキャッシュが流出してお金が不足しているので固定資産売却や借入で当面しのいだ。この状態が続いたら要注意。
理想的!

E社

営業CF + 財務CF - 投資CF -
分析 :
本業で十分なキャッシュを獲得して設備投資をし、さらに余ったお金で借入金の圧縮をはかっている。理想的な状態。
ちょっと危険

F社

営業CF - 財務CF + 投資CF -
分析 :
本業でキャッシュが流出し、固定資産を売却してお金を捻出したが、そのお金で借入を返済しなければならない状態。危険度が高まっている。
要注意

G社

営業CF - 財務CF - 投資CF +
分析 :
本業でキャッシュが流出してしまったため、仕方なく借入をして当面をしのいだ状態。この状態が続くと要注意。
危険!

H社

営業CF - 財務CF - 投資CF -
分析:
本業でキャッシュが流出した上、お金に替えられる資産もなく銀行からお金を借りるどころか返さなくてはならない三重苦状態。資金不足で倒産する危険大。