様々な考えを発想させてくれる
ヒントがいっぱい
現在の状況は「戦時下」に例えられています。戦争は大変お金がかかります。これは昔から変わりません。そのため、戦争は「税金」の生みの親となり、私たちがいま負担している税金の基礎が形作られてきました。この歴史を、この本は解かりやすくかつ丁寧に記述しており、大変面白く参考になります。
筆者は、諸富教授の記述は今の日本の財政と税金のあり方に思いを巡らす刺激剤として強烈に作用した感覚を持ちました。
安倍のマスクや10万円の給付が政治として動いています。その財源は国債で賄うそうです。これがいまの政権の答ですが、それでいいのでしょうか。
一番わかりやすい具体例を見ましょう。
日本国民には「復興特別所得税」が課せられ、2013年(平成25年)から2037年(令和19年)まで25年間にわたり追加の税金を払い続けることになっています。
片や、「復興特別法人税」は2012年(平成24年)から3年間、法人に追加課税するとしていましたが、1年短縮して2年間で廃止しました。
このように、「ルール」は時の政権が都合よく設定したり変えたりします。
いってみれば、国民には負担を押し付け、企業には負担をさせないというルールがつくられ、財源が確保されているのです。
今回の財源は、実に安易に借金で賄うというのですが、これはこれからの世代に負担として積みあがる話です。財源策としてはやってはならない選択と言えましょう。
筆者はこの本から暗示される新たな税金を適切に新設して、返す必要のない財源を確保すべきだとの見解を持ちますが、読者の皆さんにもぜひ考えてほしいと思います。
そのためにも、この本の一読をお勧めします。