食費の切り詰めが現実問題になる
参議院選挙の結果を受けて、安倍政権による10月からの消費税引上げに踏み込む状況が一段と強まった。
各人が自分の生活を見つめてもらうと分かることだが、生活するために毎日食料品を買い、毎月電気水道ガス代、携帯電話料を支払い、2から3週間ごとにガソリン代を支払っていることと思う。自分の車を使わず出かけるには電車代やバス代も支払う。そうしないと生活できないのだから、この支払いをなくすことはまずできない。
これらの支払いはすべて消費税の対象である。
ある独身者の生活パターンを想定してみよう。
月に20万円の手取りを得ている。貯金はできない。手取り額20万円はすべて生活費として消えていく。極めて現実的な話だ。
そうすると現時点では月20万円の全額が支払に回るが、それは消費税額を含んでいるので、実質の買い物は185,185円(A)で消費税が14,815円となる。
これが10月からは20万円の支払いのうち、10万円が食料品の買い物、10万円が外食やお酒の購入、電気水道ガス、携帯電話料、ガソリン代などだとする。
そうすると実質の買い物は183,502円(B)で消費税が16,498円となる。
この事例はかなりギリギリの生活だと考えていい。
この場合、現時点より月にして1,683円(A-B)の消費が抑制される。この独身者にとってみれば、昼飯3回分に相当する。手元にあるお金は20万円しかないのだから、生活費を切り詰めるしかない。一番切り詰めやすいのは食費だ。食事の内容を落とすことになる。
若者が活力を失うと
「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざがあるが、これをなぞれば、「消費税が上がれば日本は滅びる」ということになろう。
・消費税が上がれば若者は食費を切り詰める。
・若者が食費を切り詰めれば体力も気力も落ちる。
・体力・気力が落ちれば力仕事もできず、知力も低下する。
・国内産業は若者に頼れなくなる。
・若者に頼れない国内の産業は衰退する。
・国内産業が衰退すれば、外国資本が日本を支配する。
・外国資本は日本の税金の納付を回避する動きに出る。
・外国資本は消費税増税を推進する。
・消費税増税に歯止めがなくなりますます若者は食費を切り詰める。
・消費不況と体力悪化の負の悪循環に陥って日本の国力は衰退の一途をたどる。
・いうまでもなく日本の財政は破たんする。
・財政破たんで日本は滅びる。
世界同時進行の浅知恵
こんな話は揶揄であって、起きるわけはないという向きもあろう。
しかし、今話題のイギリスでは、EU離脱でイギリスは国として存続できなくなるという議論も起きている。失業者が爆発的に増え、スコットランドは独立を図り、国として成り立ちいかなくなるという議論である。
これも「風が吹けば桶屋が儲かる」的な話であるが、よく考えればあり得ない話ではない。どのような対処が最もふさわしいのかを様々な角度から考えて対処すべきだという警鐘と捉えて浅知恵での対処は避けようということであろう。
この教訓は大事だ。
規制緩和の推進が経済を成長させる、成績主義を導入すれば利益が増大し経済が成長する、大企業の税金をまけてやり大企業が利益を得ればトリクルダウンで国全体が成長する、といった浅知恵で、いかに日本がダメになったことか。我々は嫌と云う程十分に経験している。
反動減対策をやったから消費税を増税しても消費不況は起きないという浅知恵で、安倍政権は10月からの引上げに突き進もうとしているが、各国の政治リーダーが浅知恵ぞろいで、このままでは世界がおかしくなりそうだ。