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 民主的な税財制と民主的な税務行政を求めて研究活動を行い、春と秋の年2回公開講座を開催して好評を得ている「東京税財政研究センター」(詳細を知りたい方は同センターのホームページをご覧ください)が、研究センターの立場から「消費税増税に反対する声明」を発表しました。
 また、納税者の権利擁護を目指す「東京税経新人会」も税理士の立場から「消費税10%増税・複数税率導入に反対するアピール」を発表しています。
 税理士も消費税増税に反対です。地方議会も反対決議をしています。増税阻止のために国民的な反対運動を起こしましょう。声明とアピールをぜひお読みいただき、連帯していきましょう。

<東京税財政研究センターの声明>

   消費税増税に反対する声明

 安倍内閣は2019年10月から消費税を10%に増税するとしている。しかし、アベノミクスの失政は経済と財政に深刻な影響をあたえ、実質賃金の低下など消費不況が続いている。このような状況で消費税を引き上げることは国民生活にさらなる打撃をあたえることになる。
 消費税法は、事業者が消費税の納税義務者であると規定している。消費税は転嫁を予定しているものの、転嫁すること自体は、経済関係における力関係によって決定される。中小企業・零細事業者にとってみれば、転嫁が困難な税金で、転嫁のできない事業者は、自腹をきることになる。自腹をきれば、資金繰りが悪くなり滞納が増加する。このことは、経営上の死活問題となる。
 安倍政権は、2019年10月からの消費税率10%への引き上げに伴い、「軽減税率」を導入する方針である。食料品等の対象品目とそれ以外の線引きが難しく、すでに混乱が起きている。わが国の消費税は課税取引の対象が広く、このため低所得者層の消費税負担率が相対的に高く、逆進性の高い構造になっている。消費者にとってみれば、食品等に8%の「軽減税率」を採用しても逆進性緩和の効果は期待できない。一方、中小企業・零細事業者にとっては、担税力を無視し、赤字企業にも課税され、加えて、簡素な税金ではなく、事務作業の複雑化が増し、経営を圧迫することに変わりはない。
 軽減(複数)税率の導入に伴い、2023年10月からインボイス制度が採用される。税務署から登録を受けた課税事業者(登録事業者)に対し、登録番号記載の適格請求書の交付・保存を義務付けられる。免税事業者からの仕入れは税額控除ができないため、免税事業者が取引から排除される恐れが高い。そのため、多くの零細事業者が、課税事業者として選択せざるを得ない仕組みとなり、廃業の危機に追い込まれる。
 消費税率の引き上げに伴い、中小の店舗でクレジットカードやスマートフォンを通じた「キャッシュレス決済」を利用した場合に、期間限定でポイント還元を実施する方針である。カードを持てない低所得者、スマートフォンが苦手な高齢者などキャッシュレス決済を利用しない人には恩恵がない。実質的な税率の引下げなので多く買い物ができる富裕層ほど減税幅が大きい。カード会社などの業界の支援策で、不公平が拡大する。統一地方選挙、参議院選挙がらみのばら撒き政策で、消費税増税を減税政策として巧妙に演出し政局に利用している。
 今やるべきことは、巨額の富を蓄えている大富豪や大企業に応分の負担を求める税制に見直すべきである。軍事費拡大や原発推進の予算にメスをいれ、税金は社会福祉、若者、子育て支援などに優先して使うべきである。格差と貧困を是正し、日本国憲法にそった税財政政策を推進すべきである。
 私たちは、消費税増税に断固反対し、その中止を要求する。以上、表明する。

   2018年12月25日
                        東京税財政研究センター理事会


<東京税経新人会のアピール>

   消費税10%増税・複数税率導入に反対するアピール

 政府は2019年10月に消費税10%増税と複数税率導入を予定通り行おうとしています。
 消費税増税は国民生活と日本経済に大きな打撃を与え、さらに複数税率導入は、中小企業の経営に大きな困難をもたらすことになります。
 私たち税理士は、消費税率10%への増税及び複数税率導入に強く反対します。

  くらしも景気も壊す消費税増税

 2014年4月の5%から8%への増税では回復基調にあった景気が腰折れし、日本経済に大きな影響を与えました。8%への増税が行われてから4年半、消費は冷え込んだままです。
 労働者の実質賃金は4年連続マイナス、失業者は222万人にものぼり、年金も引き下げられ購買力の低下で、商店の売上げも低迷するなど国民の生活は大打撃を受けています。
 麻生財務大臣は「8%から10%への増税で、国民1 人当たり8万1000円、1世帯当たり18万4000円の負担増になる」と答弁しています。
 さらなる消費税増税は、物価を引き上げ、購買力を低下させ、貧困と格差を拡大し、中小業者を倒産・廃業の危機に追いこむことになります。
 消費税は、「社会保障のために」ではありませんでした。27年間に私たちが支払った消費税は304兆円になります。このうち87%に当たる263兆円が、大企業の法人三税の減税・減収の穴埋めになっています。
 NHKが12月に行った世論調査では、消費税率を予定どおり10%に引き上げることについて「反対」が36%、「賛成」が29%でした。国民の多くが反対している消費税増税を断固として中止させましよう。

  複数税率で混乱、中小企業は危機

 食料品などに「軽減税率」を導入するとしていますが、食料品などはすでに値上がりしており軽減になっていません。外食は税率10%で、持ち帰れば8%になるなど制度は複雑です。飲食施設のあるコンビニやスーパーでの混乱は避けられません。複数税率に対応できる専用レジも導入しなければならず中小零細業者にとっては大きな負担です。
 政府は消費税増税を機にキャッシュレス決済やマイナンバーカードを広めることを狙っていますが、中小商店がキャッシュレスなどに対応するには、新たな設備や体制が必要です。
 さらに中小零細業者が不安を強めているのは複数税率に伴う「インボイス制度」の導入です。
 消費税は売上に含まれる消費税額から、仕入れに含まれる消費税額を差し引いて納税する仕組みです。現在は帳簿と請求書等で処理していますが、インボイス導入後は請求書等に「登録番号と税額」を明記すことが義務付けられます。
 年間売り上げ1000万円以下の免税業者はインボイス(請求書等)の発行ができません。結果、取引から排除される恐れがあるため、課税業者になることを事実上強いられます。500万といわれる免税事業者の存亡の危機です。
 百害あって一利なしの複数税率制度を熟知する税理士が先頭に立って、消費税増税反対、複数税率導入絶対反対の声を発信していきましよう。

                                 東京税経新人会
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