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 「トピックス108」でも取り上げたが、来年10月1日からの消費税増税は、安倍3選でほぼ固まったといえよう。
 総選挙の公約が2019年10月1日からの消費税10%引上げであり、「骨太方針2018」でも明記した。さらに自民党総裁選でその安倍さんが選ばれたのだから流れは本流となった。
 国税庁も相当の予算を使って全事業者に軽減税率制度のパンフレットを送付した。
 しかし、10%への引上げは日本沈没を招きかねない。アベノミクスの偏りと合わせて、大変危険な政策である。消費税増税反対は、国民の道理ある政策選択活動といえるのだ。
 自分と子供たちのために、来年10月引上げの阻止にむけて運動を強めたいものだ。

 一方、消費税を負担する国民と事業者にとって、その増税をにらんだ対策をとることも大事である。
 とりわけ住宅や事務所・工場の建設などを予定している人は、増税に伴う経過措置を活用するかしないかで、消費税の負担が大きく変わる。
 本体税抜き3,000万円の住宅をいま所得すれば、あなたは2,400,000円の消費税を負担し、建築業者に32,400,000円支払わなくてはならない。
 これが10%に引上げ後は33,000,000円となるので、600,000円余計に支払うことになる。
 電化製品や家具を新品にできる額であるから、大きな額だ。

 そこで経過措置だが、来年2019年3月31日までに住宅建築の契約をすると、着工や竣工引渡しが2019年10月1日以降になっても消費税率は8%でいいよとされている。
 税率引上げの半年前が期限であるから、注意したい。

 大手住宅メーカーなどは、この経過措置を売り文句にして住宅販売の大宣伝をかけている。
 中小業者も来年3月末までをにらんで、契約をとる営業を強めたいものだ。
 いわゆる駆け込み需要だが、その後の反動減は必ず起きるから、できる限り契約をとることが反動減を乗り切る対策となる。

  経過措置のポイント

 1) 工事の請負の経過措置
 施行日(H31.10.1)の6カ月前の日(H31.4.1)を指定日とし、指定日前(H31.3.31以前)に締結した工事や製造の請負契約については、その契約に係る譲渡等が施行日(H31.10.1)以後であっても旧税率8%を適用するものとする。
  ・経過措置の適用を受ける場合は相手に書面で通知(請求書記載も可)
  ・指定日前契約、施行日後着手も経過措置適用
  ・課税売上が経過措置適用でも、その工事の課税仕入は仕入ごとに判断
  ・経過適用の工事で指定日以後に対価額を増額した場合、増加分は新税率
  ・経過適用工事で下請を使う場合、下請が経過措置を使えるかは契約日による

 2) 資産の貸付に関する経過措置
 指定日(H31.4.1)前までに締結した資産の貸付に係る契約に基づき、施行日前(H31.10.1)からそれ以後引き続き貸付を行っている場合、次の①および②、または①および③に該当するときは旧税率となる。
 ただし、指定日以後に対価の額が変更された場合は、変更後の貸付について経過措置の適用はない。

① 当該契約に係る資産の貸付の期間および当該期間中の対価の額が定められていること。
② 事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと。
③ 契約期間中に当事者の一方または双方がいつでも解約の申し入れをすることができる旨の定めがないこと。その他、対価に関しては貸付資産の取得費用と付随費用の合計額の90%以上が支払額の合計であるように定められていること。

  ・不動産貸付で自動更新契約の場合、指定日前までに解約申出期間が経過して自動更新され、施行日以後引き続き貸付を行う場合は経過措置が適用され旧税率
  ・ただし不動産の賃貸借契約の場合、②の定めがあれば経過措置は不適用

 3) リース取引について
 ① ファイナンス・リース取引
 ファイナンス・リース取引は、法人税法上売買があったものとして取扱われるため、資産の貸付に関する経過措置の適用はない。
 リース資産の引渡しの時に譲渡があったものとして取り扱われるため、施行日以後に引渡されるものは新税率が適用される。
 中小企業が賃貸借処理しているリース取引であっても、税法上は売買とされるため、同様の扱いとなる。
 ② オペレーティング・リース取引
 オペレーティング・リース取引はもともと資産の貸付であり、税法上リース取引に該当しない。資産の貸付に該当するので、経過措置の適用がありうる。

 4) 旅客運賃等の経過措置
 旅客運賃、映画館・美術館等の入場料金は、施行日前に料金を受領していれば、旅行日や入場日が施行日以後に行われても旧税率(8%)となる。

 5) 電気料金等の経過措置
 電気、水道、ガス、温泉供給等、事業者が継続的に提供することを約する契約に基づくものは、施行日のH31.10.1からH31.10.31までの間に料金の支払を受ける権利が確定するものは旧税率(8%)となる。基本的には領収書等の表示額の税率となる。

 6) 経過措置と軽減税率の両方が対象となる取引の取扱い
 予約販売による書籍等や通信販売で食料品を譲渡する場合、経過措置と軽減税率の両方が適用対象となる。この場合、軽減税率の適用となる。税率の内訳が異なる。
 ・経過措置8%の内訳~消費税率6.3、地方消費税率1.7
 ・軽減税率8%の内訳~消費税率6.24、地方消費税率1.76

 これらの経過措置をこの秋から頭に入れて対策をとることが大事。