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  怖い 延滞税

 税金を滞納せずに納付できればよいが、滞納となる事態が場合によっては生じる。調査で予定外の追徴税額が生じたり、経営資金の関係で期限内納付ができず、他からの資金繰りが容易にできない場合などである。
 とりわけ、消費税は厄介である。商売が赤字でも納税額は確実に発生するが、赤字に対応する資金繰りで年一度の申告に伴う消費税の納税資金が確保しきれないからだ。

 滞納した場合、本税に対して納期限から2ヶ月は2.6%、それ以降は8.9%の延滞税が賦課される(率は現時点)。
 延滞税のとてつもない率を見ても分かるように、滞納税額を放っておくと雪だるま式に延滞税が積み上がる。延滞税はコワイということを肝に銘じたいものだ。

   徴収の権限は強烈

 徴税機関にしてみれば、滞納を放置するわけにはいかない。国や地方公共団体にすれば税金は政策を遂行するもとであるから、税収を確保するために強力な権限が与えられている。
 その権限行使は次のとおり。
 納税者が滞納すると、税務署の徴収職員は納期限後50日以内に督促状を発行する。
 督促状を発した日から10日以内に完納されなければ、差押(滞納処分)を行うこととされている。この処分は強力である。商売ができなくなる事態も生じる。
 滞納を放っておくととんでもないことになる。とにもかくにも税理士か税務署当局に相談するなど動くことが肝要である。

  申請型の分割納付制度を創設

 国や地方公共団体にすれば、納税者を潰してしまえば元も子もない事態となる。滞納税金が回収できないだけにとどまらず、将来の税金も確保できないことになる。
 政府は、消費税を5から8%に引上げるとき、消費税の滞納税額が増えるであろうと考え、分割納付をしやすいようにした。
 申請型の換価の猶予の導入である。

 28年に導入された申請型の換価の猶予は、それまでの職権で分割納付を認めるという上から目線の徴収行政を転換させることになる。導入の趣旨が分割で納付してもらうことなので、申請すれば余程のことがない限り認められる。申請に際して記載内容に不備があっても税務署の担当官は丁寧に指導し補正をしてくれる。その点で、申請型換価の猶予は納税者を丁寧に扱い、これまでにない徴収行政となったことは評価できる。

 申請が許可された場合、延滞税は率が半分となる。一時納付ができないときは、分割納付の換価の猶予を申請することを肝に銘じてほしい。

  申請型は2年間

 ところで、分割納付の期間だが、最初の申請は1年間である。1年間で完納できない場合は最終月の1ヶ月前前後に「換価の猶予期間延長申請書」を提出してそれが許可されればさらに1年間の分割納付ができる。延長申請を忘れてはいけないので注意したい。
 ということで、申請型の分割納付は2年間にわたって分割納付ができる制度となっている。

  引き続き、職権の分割納付で2年間

 それでも完納できないときはどうなるのか。
 その場合は、職権による分割納付へ移行する。ここでも行動を起こさないとダメ。
 基本的には税務署に相談に出向き、「分割納付計画書」を提出することになる。徴収職員とのやり取りとなるが、職権による1年間の分納が認められることになる。
 この様式は国税庁のホームページに載っていないので、注意が必要だ。
 ともあれ都合3年の分割納付が認められる。

 それでも完納できないときはどうなるのか。
 職権による分割納付で3年目の納付を続けてきたが、完納が無理となれば最終月の1ヶ月前後に徴収職員に出向き、分割納付計画書の延長を求めることになる。
 この延長は最大1年間である。
 ということで、分割納付は最大4年間可能だということを知ってほしい。

   新規滞納は取り消し事由
   しっかり計画を立てて完納を

 ただし、期間中に新規滞納が発生すれば許可が取り消され、一括納付が求められる。それができない場合は差押となる。
 商売をしていれば、毎年新しい税金が発生する。その納付も織り込みながら納税資金を計画的に手当てし、滞納をクリアしてほしい。