2年ほど前のニュース
消費者庁は2013年7月25日、2014年4月の消費税増税時での消費税転嫁を阻害する行為に関する指針案を公表した。 消費税分を値引きする宣伝や広告、「消費税は転嫁しません」、「消費税率上昇分値引きします」、「消費税相当分、次回の購入に利用できるポイントを付与します」等の表示は禁止している。 「消費税」といった文言を含む表現であっても、消費税分を値引きする等の宣伝や広告でなければ、禁止しない。例えば、「毎月20日は全品5%割引セール(なお、4月1日から消費税率が8%になります。)」という表示はできる。 「消費税」といった文言を含まない表現であっても、「増税分3%値下げ」、「税率引上げ対策、8%還元セール」など、「増税」、「税」といった文言を用いて実質的に消費税分を値引きする等の趣旨の宣伝や広告を行うことは禁止。 |
消費者庁はいうに及ばず、公正取引委員会、中小企業庁、国税庁など政府機関は同じ広報を展開しました。
転嫁に関する禁止のお達しですが、財務省がなんとしてもやりたいことは消費税10%への引上げで、国民に対する消費税の転嫁と考えれば今回の宣伝はモロ禁止事項といえます。
財務省がぶち上げた「日本型軽減税率」は、なんのことはない「2%税率引上げ対策で、食料品のみ代金の2%のポイントを付与して還元セールをやります。なお、2017年4月から消費税率が10%になります。」という宣伝・広告ですもの。
狙いは
10%引上げに対する国民の反発をそらす狙いはミエミエ。
ボロボロ零れ落ちること必至の逆進性対策で、麻生さんは端からそういっているのですから対策にならないことを確信しているわけです。ですから、逆進性対策は狙っていないといってもいいでしょう。
ところで韓国に行かれた方は体験されたと思いますが、韓国は「現金領収証制度」を導入しています。
韓国の制度は次のようになっています。
まず、国民や事業者に番号入りの「現金領収証カード」が発行されます。
それをもとにして
① 消費者は国税庁の専用ホームページに番号を登録
② 消費者は購入時に加盟店へ現金とともにカードを提示
③ 販売店は現金領収証事業者に取引内容をリアルタイムで登録
④ 販売店は現金領収証事業者から承認をリアルタイムで受け取る
⑤ 販売店は消費者へ現金領収証を発行
⑥ 現金領収証事業者は国税庁へ取引内容を1日1回電子送信
⑦ 国税庁は現金領収証事業者へ受理を通知し、現金領収証資料を登録番号により区分し資料として集積
⑧ 消費者は決済内容を国税庁のホームページで照会することが可能
⑨ 消費者は現金領収証により所得控除を受ける(限度額等あり)
財務省がぶち上げたポイント還元方式は、韓国の制度そのものといっていいのです。「日本型」とは、よく恥ずかしくもなくいうものです。
韓国はこの導入によって現金取引内容を国税庁が把握・管理できることになり、現金収入を除外する業者が激減したとしています。
また、「現金領収証システム」のインフラと運用で、電算システム企業と通信事業者、クレジットカード事業者が認定され大きな儲け口を生み出しています。
本来なら社会福祉に使われるべき財源が業者の儲けになっているわけです。韓国ではこの制度に宝くじまでくっつけて定着を図っています。
どうでしょう。財務省の狙いはこんなところにあるのではないでしょうか。
生活必需品にゼロ税率を
消費税は逆進性をもち、また、課税最低限がなく担税力のない人にまで課税するという不備な税制です。本来このような税制は廃止されるべきですが、やむなく存在を受け入れるとして逆進性を解消するには少なくとも生活必需品をゼロ税率とすることです。
つまり軽減税率の導入です。それによってなんとか憲法が許容する範囲の税金となるでしょう。経済界、税理士会、一部の学者がこぞって反対しているようですが、国民のことを考えてほしいですね。