粉飾方法は単純
東芝の粉飾決算が明らかになった。第三者委員会はその額を1562億円になると報告した。 | 自前の電球では 闇は明るくなりそうもない |
税務の世界では
納付税金を減らすために、決算で簡単にできる利益調整の手法がこれらの逆の操作。
① 当期利益を減らすために期末までに計上しなければならない売上を翌期に回す。
② 工事原価を過大に見積もって計上する。
③ 翌期の納品や役務の提供が完了していない諸経費を業者に頼んで請求日付を当期中とし、当期の経費にして利益を減らす。
④ 在庫を過少計上する。
税務調査で調査官が必ずと言っていいほどチェックする事項である。
税務調査では、単純な決算調整なので「架装・隠ぺい」に該当せず「不正」「重加算税」の対象にならないと考える方もいるかもしれない。
しかし、「ことさら過少」に所得を減らすことを意図して行ったことが稟議書や取締役会の議事録等の証拠物で明らかな場合、①、②は重加対象とされる。
③は相手との「通謀」が明らかになれば重加対象だ。
④は意図的な除外や改ざんとなれば重加対象である。
だから、調査官は鋭く突っ込んでくるし、まあ簡単に捉まる事項でもある。
公認会計士の世界では
公認会計士による監査は、税務調査官とまったく逆で、利益が過大=粉飾になっていないかを神経質にチェックする。
当期利益が実際には▲100なのに、+130と膨らませた利益で決算を組んで公表すると、様々な取引先・利害関係者は儲かっていると誤認し、資金調達に応じたり、取引額を増やしたりする。その結果、回収不能となる場合も出てくる。言ってみれば詐欺に引っかかったようなものだ。
このような粉飾決算は犯罪になり、公認会計士が見落としたとなれば、それは落第となり処分される。だからこそ、公認会計士は超保守的に売上の計上が過大になっていないか、経費の翌期回しはないか、棚卸は過少に計上されていないか入念に監査する。
第三者委員会が報告した手口を見て、このような単純な操作を公認会計士ともあろう人が見落とすわけはないから、どう考えても「組織的」にみんな「ぐるみ」で粉飾決算を行ったと思わざるを得ない。
仮装経理で納めすぎた税金は?
法人税と消費税は扱いが違う。
消費税には仮装経理による過大納付に関する処理規定がない。消費税は資産の譲渡・役務の提供が実際に行われたことに対して課税する税金の性格上、仮装という概念が入り込まないわけだ。
たとえば課税売上高100のところを利益を出すために50乗っけて150で消費税を計算して納付した場合、実際は100だったよということが明らかになれば納税者は更正の請求をすれば税務署は調査をへて職権で50に対応する分を還付してくれる。
このことが調査で分かった場合は、更正の請求をせずとも職権で減更正となる。
法人税はそうはいかない。勝手にやった利益調整で税金を納めすぎたから返してくれということに課税庁がハイハイと応じるとしたら、単年度主義の国の財源は不安定になってしまう。
しかも法人税は「確定決算」に基づいて納付するのが原則であるから、それが粉飾であることを想定していない。したがって、違っていたというのであれば決算上も直すという手続きを踏めというわけだ。
法人税の規定は、「修正仕訳」という決算上の手続きへて、それを申告に反映したうえで更正の請求書を提出しなさい、そうすれば税務署がそれを確認する調査を行い、妥当であれば、いっぺんに返すのではなく、5年間で返しますということになっている。
日本の財政は借金まみれ。東芝さん!ここはひとつ、世間を騒がせたことの謝罪を込めて、納めすぎた税金の還付を求めるようなケチなことはしないほうがいいのでは。