消費税という税金は極めて怪しい税金だ。
消費税法は67条だけの限られた条文しかない。
そこには転嫁という言葉も消費者という言葉もない。
税率が5%から8%になった。
それを皆さんが負担していると思っているかもしれないが、鉛筆1本90円で仕入れたおなじ商品を、ある店では108円で販売、ある店では130円で販売している。
サラリーマンが130円の鉛筆を買って帰ると、途中で108円で売っている店があった。
買った店に戻って、おかしいじゃないかといったところ、店の主人がうちは実は内緒で消費税を30%と想定して販売額を決めている、といった。
サラリーマンが違法だから22円返せと迫ると、でも建前として税込価額130円(内消費税8%10円)ということで売っているので、違法じゃありませんという。
サラリーマンは30円の消費税を支払ったのが真実ですから、22円は消費税を余計に負担したと考えた。
店が返さないというなら、税務署から返してもらおうと、税務署にたいして22円の消費税を還付請求した。
税務署は返せないとはねつけてきた。腹の虫がおさまらないサラリーマンは裁判を起こした。地裁、高裁と負け、最高裁に行った。
最高裁はなんと言ったか。
サラリーマンさん、あなたは単なる消費者だ、消費税法には、消費者が正しい消費税額を負担するとも書いてないし、消費者は納税義務者でもないから、あなたが還付を請求すること自体できない。
と、門前払い。
みなさんも、お店で買い物していると思う。
内税で表示してある消費税額を、私が税務署に納付しますから店には払いません、心配ならこれから一緒に税務署にいって納税するのを確認してください、といったら、国民としては立派な納税者なのに、料金踏み倒しで警察に突き出されて逮捕となる。
国や財務省は、消費税は最終消費者が負担する税金と宣伝している。
国は嘘つかないと思うので、領収書に記載されている消費税額をみなさんが国に納税しても何の問題もない。
ところが消費税法にはそんなことは一切書いていない。
店の店員さんが、内税で表示してある消費税額について、たとえば38円の消費税を負担していただきましたので、この額をきっちり税務署に納税させていただきます、といったか?
絶対に言わない。
サラリーマン氏は自分が負担した消費税が国にきちんと納付されたのか、一切確認しようがない。
実際に負担している消費者はまったく関係ない。
なぜかというと、消費税というのは事業者の付加価値に課税する事業者課税だからだ。
付加価値って何か。簡単に言うと粗利のこと。
しかも、その事業者に所属して働く人が生み出した付加価値のこと。
それは一般的には役員報酬や給与として、付加価値を生み出した人に労賃として支払われるものだから、消費税というのは付加価値税でその実態は労務費に課税する税金というわけだ。
事業者が転嫁できれば物価があがり消費不況を招く。
転嫁できなければ労務費から消費税を支払うことになるので賃下げせざるを得ない。
給料が下がれば消費不況を招く。
消費税を引き上げたとしても、その分を転嫁できてもできなくても、消費不況を呼び込む本質的構造を消費税はもっている。
いま消費不況を脱却することが大事だと叫ばれている。
正規雇用を増やして、給与を上げて、社会保障を手厚くして、安心して消費できる社会にすることに尽きる。
消費税を引き上げてはならない。社会保障に使うという保証はどこにもない。
それをやってしまった。
一方、大企業の内部留保は260兆円だという。
法人税が半分に引き下げられた結果ともいえるので、その額は半端ではない。それで国の借金が増えているのだから、大企業の内部留保は国からのまた借りと同じだ。
国が借金で困っているのだから、100兆円ぐらいまた借り分を返すのは当然のこと。
5%から8%に引上げで8兆円の増収だという。
大企業が借金を返せば消費税を12年間引上げないですむ(100÷8=12.5)。
この時期、消費税を根本から問い直すことが必要ではないか。