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  やっと、第2次の「Q&A」を発表

 消費税が4月1日から8%に引上げられる。それに伴って、4月1日以降の資産の譲渡や役務の提供は8%の税率が適用される。いうまでもなく、3月31日以前の資産の譲渡や役務に提供は5%の税率が適用される。これが原則的取扱いとなる。
 ただし、いわゆる経過措置として、別段の定めがあるものはそれによることになる。実務的には相当神経を使い慎重に対処しなければならない。
 問題になっていたのは、リース料の扱いである。
 国税庁は1月24日になって、やっとこの取り扱いをQ&Aの形で公表した。
 資産の貸付について次の経過措置が規定されている。 

<資産の貸付>=指定日(25.10.1)の前日までに契約締結、施行日(26.4.1)前から施行日以後も引続き貸付が行われるもので一定の要件を満たすものは旧税率適用

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 <一定の要件>=①対価の額が契約で定められていること、②対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと、③契約期間中に当事者の一方または双方がいつでも解約の申し入れをすることができる旨の定めがないこと。並びに、貸付資産の取得に要した費用の額と付随費用の合計額について、契約期間中に支払われる支払対価の額の合計額の割合が100分の90以上になるように契約において定められていること

  勘違いしやすい経過措置

 リース料の大半は、所有権移転外ファイナンス・リースといってよい。
 例えば大型ユンボを5年のリース契約で借りるとしよう。大手リース会社によるこのリース契約は、金額設定、解約条項など、経過措置の要件に当てはまるようにできているから、一般的には、この所有権移転外ファイナンス・リース契約は経過措置の対象となりうると考えるはずだ。

 ところが、20.4.1以降所有権移転外ファイナンス・リースは売買とされた。つまり、リース物件の引渡し日に資産が譲渡されたとして処理する。借り手はリース料の全額が課税仕入となり、その資産は通常の減価償却で費用化するということになった。
 一方、中小事業者はそれまでの賃借料の扱いと同じ処理をしてもよいとした。その場合の消費税の扱いを国税庁は支払時の課税仕入つまり「分割控除」を認めるとした。
 国税庁の考えは、リース物件の引渡し日の全額仕入控除だが、分割控除も認めるということだから、実は契約日がいつかは関係なく、資産の譲渡日の税率が適用されるということである。
 つまり、経過措置は関係ないということなのだが、経過措置が契約日が絡むことから、経過措置の対象になるのかならないのか判然としなかったものである。

   リース資産の引渡し日で判定

 国税庁が26年1月24日に第2弾のQ&Aで示した取り扱いは、契約日に関係なく、26年3月31日までに引渡しを受けたリース資産の分割控除は旧税率5%の対象になるとしている。

   リース会社からの請求額は?

 これで取扱いはスンナリしたというところだが、大手リース会社は20.3.31以前の契約は5%、20.4.1以降の契約は26.3.31までは5%、26.4.1以降は8%の税率になるとしている。
 というのも、リース会社の方は借り手が「分割控除」をしているのか、「一括控除」をしているのか、関係がない。分割控除に対応させて契約しているわけではない。
 したがって、借り手が4月以降も5%として処理するリース料について、リース会社は原則どおり4月以降は8%で請求してくると考えた方がよい。
 そうすると、月額50,000円(税抜)のリース料でどうなるのか。

 ①借り手は52,500円の請求が来るものと思っていた。
  リース料    50,000   現金  52,500
  仮払消費税   2,500
 ②ところが8%の税率適用の請求書が来たので8%で仕訳した。
  リース料    50,000   現金  54,000
  仮払消費税   4,000
 ③税務調査で支払額54,000円は5%の適用なので消費税は否認、法人税は認容になると言われた。
  リース料    51,428   現金  54,000
  仮払消費税   2,572

 このような問題が生じかねない。
 確かに、リース会社は全額を5%の課税売上として処理しているので、4月以降のリース料を8%にするのはおかしい。
 したがって、国税庁は、今回のQ&A回答に基づき、リース会社にリース資産が5%期間に引渡されていれば、その後のリース料は5%が適用されるということを確実に指導すべきである。
 しかし、それは会計処理の話であって、リース契約はあくまでも月々払のリース料となっているので、契約条項が支払時の消費税率によるとなっていたら、リース会社の請求は不当だといえない。
 借り手がうちは分割控除だから52,500円で請求しろといっても、リース会社は受け入れないであろう。そうすると、借り手は②の仕訳をせざるを得ない。申告で損をするからだ。
 ところが国税庁の回答によれば、5%になる。仮に、国税庁が、税務調査で③の否認を行うとしたら、これは経済取引と矛盾する。  
 このような場合は相手方の請求にあわせて処理してよいと明確にすべきであろう。リース会計の変更があって、税務は特殊な扱いになっているのだから、想定できる事態に対して、国税庁はもっと丁寧な取り扱いを示すべきである。