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 国税庁は325日、26年分の会社標本調査結果を公表した。

 税金ウォッチ77でトヨタ自動車の政策減税を取り上げたが、今回は国税庁が発表した会社標本調査から大会社全体の法人税負担状況を見てみたい。

 

 連結法人の推移  <金額単位:百万円>

年分

連結

法人数

申告所得

金額A

算出税額B

税額控除C

法人税額D

実質負担率D/A

24年分

1,243

5,220,569

1,361,359

799,410

691,756

13.25

25年分

1,392

8,544,519

2,178,598

1,020,095

1,299,366

15.20

26年分

1,493

10,692,058

2,726,218

1,462,798

1,266,286

11.84

 

■ 大会社は連結法人を目指す

 日本の名だたる大企業は「連結」を選択している。

 したがって、大企業といえば連結法人と考えてよい。逆に、会社標本調査の区分で連結法人を抜き出しているが、それは大企業を示していると思ってよい。

 表のように連結法人数は連年増加している。連結の方が企業にとって有利だから増加は当然の話になるが、大企業の膨張ぶりが伺える。

 

■ 儲け確実に増大

 申告所得金額Aは連年確実に増加している。1社平均も、244,199百万円、256,138百万円、267,161百万円と増加している。

 危うい大企業も報道されているが、儲けの伸び率はすごい。

 

■ 算出税額は単純に税率を乗じた額

 算出税額Bは申告所得金額に各年分の法人税率、26年であれば25.5%を乗じた税額である。本来、法人税はこの額が各会社の法人税負担額となる。

 よく話題になる「実効税率」もこの25.5%に、住民税率と事業税率組み合わせて、現行は34.62%となっている。安倍さんはこの数字を引き合いに出して、他国に比べて高いから引き下げるといっているわけだ。これがいかにデタラメなことかということを会社標本調査は教えてくれる。

 

■ 本税の53.7%が税額控除で消える

 税額控除Cは政策減税の税額控除と外国税額控除の合計額である。外税控除は当然ではないかという考えもあるが、各国で営業活動して儲けているときに二重課税と言えるのかという基本的な問題があり、単純に妥当だとは言えない。

 政策減税による控除は恩恵そのものであり、到底公平とは言えない。その二つの税額控除は法人税本税で本来納めるべき税額の53.7%にのぼる。連結法人の1,500社で14600億円になり、2年前からほぼ倍増している。

 

■ 納付した法人税額の負担率は11.84

 税額控除Cを引いて実際に連結法人が納付した法人税額は、本来納付すべき額の半分以下となった。申告所得金額Aで割り返すと、実質負担率は11.84%である。

 この税率をもとにすれば、実効税率は約19.6%となる。これより低いのはシンガポールの17.0%で、アメリカ、フランス、ドイツ、中国、韓国、イギリスより低率の法人実効税率となっている日本。

 

 会社標本調査が教えてくれていること、それは、安倍さんの言動に騙されてはいけないということ。

 大企業にとっては十分すぎるほど実効税率は低いのだ。安倍政権の売りとしての法人税率引き下げは、日本の財政悪化に拍車をかけ、日本を売ることにつながりかねない。