to28.jpg

 

 日ハム・ダルビッシュ投手がアメリカ大リーグ・レンジャーズに移籍するにあたり、レンジャーズは約40億円の入札料を日ハムに支払うとともに、ダルビッシュ本人とは6年間46億円で契約が成立したと報道されている。
 レンジャーズは1人の投手を獲得し、6年間働いてもらうために90億円使うというわけである。 

 そのアメリカでは大統領選挙にむけて共和党の候補者選びが始まっている。候補の一人ミット・ロムニー氏に対しては、大富豪なので庶民の立場には到底立てないと攻撃が集中。
 ロムニー氏はやむなく2年間の所得と納税額を公開した。直近2年間の所得は33億2,500万円で納税額は4億8,300万円だという。実質税率は14%ということになる。
 投資によるキャピタルゲイン(差益)や配当所得は日本と同様に15%と軽課になっている。ロムニー氏の所得はこの軽課対象所得が多く、また、寄附金控除によるためだといわれている。要は勤労所得ではなく、金が金を生む仕組みの中で、1人が年間16億円の金を得ている。
 
 東京商工リサーチが2011年1~12月に提出された有価証券報告書から集計した役員報酬の支給実態(年間)を発表した。
 ●日産会長兼社長のカルロス・ゴーン氏→9億8,200万円
 ●ソニーのハワード・ストリンガー氏→8億8,200億円
 ●大東建託元会長の多田勝美氏→8億2,300万円(日本人最高)
 ●タカタの高田重一郎氏→6億9,500万円
 
 国税庁は毎年9月、民間給与実態調査を発表している。平成22年の給与所得者は5,415万人で、年間平均給与は412万円。男女別では、男507万円、女269万円。
 収入階層別の分布率は下表のとおりだが、格差は一目瞭然となる。
 給与収入1千万円以上は5,415万人のうちの4%、21万人しかいない。
 かたや30%の1,625万人が年収200万円以下である。

収入金額階層別の分布割合
金額区分
分布率
累計
100万円以下
 
7.9
7.9
100万円超
200万円以下
15.0
22.9
200万円超
300万円以下
17.6
40.5
300万円超
400万円以下
18.1
58.6
400万円超
500万円以下
14.3
72.9
500万円超
600万円以下
9.4
82.3
600万円超
700万円以下
5.7
88.0
700万円超
800万円以下
3.9
91.9
800万円超
900万円以下
2.5
94.4
900万円超
1,000万円以下
1.6
96.0
1,000万円超
1,500万円以下
2.8
98.8
1,500万円超
2,000万円以下
0.6
99.4
2,000万円超
2,500万円以下
0.2
99.6
2,500万円超
 
0.2
99.8
合  計
100.0
 

 
 最近のお金をめぐる報道では1人の人間に億円単位が飛び交う。景気のいい話ではないかと目を細める向きもあろうが、どうも妥当な水準ではない感じがしてならない。
 ニューヨークでは99対1の格差社会を告発する運動が続いている。
 ひずみが大きくなりすぎ、社会がまともに回らなくなっていることへの抗議だが、日本も同じである。
 ひずみの構造は案外簡単である。賃下げ・首切りと富裕層減税である。
 これを是正するには、反対のことをすればいい。雇用を増やし、賃上げをし、富裕層に対してドンと増税して、所得再配分機能を強化する。これを確実にやれば、日本も世界も妥当な経済になっていくはずだ。消費税増税はとんでもない。