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狙いは、従わない

教職員の首切り

 

 63日、大阪府議会で教職員に国歌斉唱時に起立を義務付ける条例が成立した。前日に委員会で審議し、翌日の本議会で他会派の反対を押し切って成立させるという強引さだった。 橋下知事が代表となっている政党「大阪維新の会」が議員提案した条例だが、発案は橋下知事である。
 橋下知事は、府立高校の今春の入学式で起立しなかった教諭が38人いたことを知って激怒し、府議会で「組織の命令に従わない教員をたたき直す」とぶちあげた。

 

      「君が代起立条例」の骨子

目 的  府の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱について定めることにより、府民、とりわけ次代を担う子どもが伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛する意識の高揚に資するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと並びに府立学校及び府内の市町村立学校における服務規律の厳格化を図ることを目的とする

国歌斉唱 学校の行事で行われる国家斉唱では、教職員は起立により斉唱を行う

 

国旗掲揚 府の施設で執務時間に国旗を掲げる

   条例の骨子は表のとおりだが、橋下知事の狙いは命令に従わない職員の排除にあるといっていい。9月には「職務命令違反職員の処分条例案」を提案する意向だという。

 

  条例「目的」の無茶ぶり

 

 条例の目的をよく見てほしい。日本語として練れていないのは置くとして、展開が余りにもひどい。

 目的として示すのが二つである。「並びに」の前段部分と後段部分である。

 前段部分を読み解くと、教職員が国歌を起立斉唱することは、大阪府民とその子供たちが、①伝統と文化を尊重し、②伝統と文化に根付く日本とふるさと大阪を愛する意識を高揚させ、③他国を尊重し、④国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うことに繋がるので、この条例を定めるとしている。

 後段部分は、教職員の服務規律の厳格化を図るため、この条例を定めるとしている。

 大阪府民はバカにするなと怒らないのだろうか。お前らは、伝統を尊重したり、国や郷土を愛する心も、国際社会の平和と発展に寄与する態度も足りないので、教員が君が代を起立斉唱する姿を見て態度を改めろ、と言われているのである。

 教職員にしてみれば、おれたちの態度ひとつでここまで教育できるのかとむず痒くなるほどの持ち上げられ方である。

 皮肉を言っているのではない。バカもほどほどにしろと言いたいのだ。

 後段部分は、教職員に対する服務規律の厳格化を目的とした。橋下知事が制定したかった条例はこの部分である。これだけだと露骨すぎるので前段部分を書き足した。まともな理由付けができないため、府民を愚民に仕立て、大言壮語を施すのである。歴史は、こういうマヌーバー(策略)が闊歩する時は危険だと教えている。実に危険だ。

 

  乱暴な政治を許しちゃいかん!

 

 日本国憲法において、天皇は象徴となり、国政に関与できないこととされた。この憲法制定は、極めて重たい歴史を経ている。国旗・国歌問題は天皇制度と併せてこの重たい歴史を抜きにしては語れない。日本国民にとって思想問題となる必然があるのだ。

 それを服務規律の問題と位置付けることが乱暴なのである。

 審議と議決に至る手続きにおいても、実に乱暴である。

 原発についても、玄海原発再開でゴリ押し的動きが報じられている。乱暴な政治は必ずツケが回る。