募金達成に感謝
前回ナンバー117のトピックスで幣原喜重郎と平和憲法の関係を映画化する話を取り上げ、支援金への応募を呼びかけさせてもらいました。期限内に目標金額に達成し、クラウドファンディングが成立したとのことです。ご協力、ありがとうございました。
情報を伝えるには
筆者は活字世代なので、本を読むことに苦痛はないのですが、若い職員などと接していると、活字を読むことが苦手の反面、画面や映像への反応は鋭くそれはそれでひとつの才能だと感心してしまいます。ですから、若い人たちに何かを伝えたいと思うなら、映画や動画という手段は相当有効だと思います。
憲法改正の推進部隊は、日本国憲法の平和主義はアメリカが押し付けたということを理由のひとつとしていますが、これは違う事実に基づく情報操作の一つです。
正しいのは、時の総理大臣・幣原喜重郎がマッカーサーとの会談で平和主義を提案し、合意されたものです。
こうした問題について、ウソ情報に惑わされないようになってもらうための伝える手段は、書物より漫画や映像の方が今の時代に合っていることは間違いありません。
活字世代としては、本も読んでといいたいところですが、せんないことかもしれません。
またまた映画の話ですが
それやこれやで、またまた映画の話のトピックスになりますが、「新聞記者」という映画を見ました。
映画館に行くと、観客は多いのですが、私も含めお年寄りが目立ちます。若い人はパラパラ。
最初にいいたいのですが、この映画はぜひ若い人たちと公務員に見てほしいと思います。
筋の詳細は紹介はできませんが、大筋は内閣情報調査室に勤務する若い公務員と、とある新聞社の女性記者をめぐる映画で、ひとりの公務員の自殺の背景にある政治的陰謀が記事として社会にでるまでと、それに絡む人たちの心の葛藤・心情を描いている映画です。
公務員って
この映画を見て考えることがいろいろと出てきます。
まずは、公務員の在り方です。公務員は公僕ともいわれます。公のしもべというわけですが、この「公」が国民と考える人は、憲法に公務員は全体の奉仕者だと規定されていることからくるのではないかと思います。
筆者もそう考えるのですが、ある公務員にとっては、「公」は国家であったり、国体であったり、内閣総理大臣であったり、官僚組織であったり、その組織の上司であったりするわけです。
公務員の方がこの映画を見て何を読み取るのか、読み取ることができないのかが問われそうです。
また、自分が主人公の公務員の役職に就いた場合、どのような対応をするのか、難しい問題提起に直面することになりそうですが、自分ならという想像力が働くのか働かないのかも問われることになりそうです。
映画を観終わった後、つくづく公務員の方に映画を見てもらい、二つの問とその答えを聞いてみたい感想を持ちました。
ひとつは、あなたにとって「公」とは何か。
もうひとつは、あなたが主人公の公務員の立場に置かれた時、主人公と同じ行動をとるのかどうか。
いずれも想定の話ですが、昨今のキャリア官僚のあり方を見せつけられると、公務員全体が何かの力にしばりつけられているのではないかと想像してしまうので、こうした質問をしたくなるのかもしれません。
読解力の話
この映画もそうですが、鑑賞者がどのように受け止めるのかはその映像に対する読解力によるのだと思います。
この読解力がどうなっているのかの研究が、東京都板橋区で今年度から取り組まれているという記事が5月に出ました。
74ある全区立の小・中学校で基礎的な「読み解く力」を測る「リーディングスキルテスト」を導入し、現状の把握をするというのです。
導入にあたり、国立情報学研究所の新井紀子教授は、「ほとんどの子は、借金して大学を出てもAIに仕事を奪われます。」とし、「ロボットに文章を読み解く力はない。読解力こそが人間の優位性。全員が教科書を読めるようにすることが公教育の役目です。」と強調したとあります。
多くのデータをとり、読解力を伸ばすための授業の開発を目指すとのことですから、注目して見守りたいと思います。
なにしろ、AIで消えゆく職場の一つに挙げられているのが税務会計事務所ですから。
映画から読解力に話が飛びましたが、読解力の大事さを痛感するだけに新井教授の開発に期待を寄せるわけです。