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   接待外交

 ドナルド・トランプ米大統領が来日した。安倍晋三首相はご接待外交を繰り広げた。

   ロン・ヤス

 今回の動きを見ていると、ロナルド・レーガン大統領と中曽根康弘首相が繰り広げたご接待外交を思い出さざるを得なかった。
 二人は「ロン・ヤス」と呼ばれる信頼関係を築いたとして、中曽根首相は当時のアメリカの軍拡競争の片棒を担いだ。
 当時、レーガン大統領はソ連を「悪の帝国」と言い放ち、ありていに言えば誰にでもわかりやすい「敵」をつくり、「冷戦」を戦った。それに勝つためには軍拡だとして軍拡に走った。一方、人気取りのためアメリカの国内向けには大規模減税を行った。
 このため、アメリカは財政赤字と経常収支の赤字=「双子の赤字」と呼ばれる深刻な赤字に陥った。
 双子の赤字でアメリカが軍拡競争に敗れれば、追随している日本も敗れることになる。
 そこで中曽根首相はアメリカ軍拡の片棒を担いだわけだが、それによってアメリカは軍拡競争に勝って、冷戦終結に向かう。ソ連は崩壊する。

   敵を作り叩く

 いま、トランプ大統領は中国を最大の敵としてつくりだし、ファーウェイ攻撃や「貿易戦争」を仕掛けている。中国の海洋進出は軍事化を伴っており、中国とは覇権争い、軍拡競争の関係にもなっている。
 また、北朝鮮、イラン、ロシアを敵として、敵を攻撃する政治手法をとっている。
 敵を作り敵を攻撃する政治スタイルは、繰り返し使われてきた手法だが、安倍首相の政治スタイルも正にこの手法である。

   ドン・シン

 こうしてみると何のことはない、「ロン・ヤス」の塗り直し、いや、「昔の名前で出ています」ということがわかる。
 今回のご接待外交を見ていると、安倍首相はトランプ大統領と「ドン・シン」と呼ばれる信頼を築いているといっていいはずだが、なぜかそれをいいださない。
 筆者が思うには、「ロン・ヤス」に比べて「ドン・シン」は語呂が悪く、アベノミクスなどとかっこを気にする安倍さんにとっては受け入れがたいのであろう。残念でした。
 しかし、作り上げた敵との覇権・軍拡競争にアメリカが負けては大変と、中曽根以上の片棒担ぎを行っている。
 その点で、日本外交の本流である対米追随外交は「ロン・ヤス」どころか見るに堪えない水準にのぼりつめている。

 それにしても、マスコミは何故「ドン・シン」と呼ばないのであろうか。だらしない。

   見通しは?

 さてこの追随、アメリカが冷戦に勝ったときのようにうまくいくであろうか。
 情報や技術といった経済をベースとする競争といえるため、経済を破壊しかねない対立はやめろと世界から非難され、アメリカと追随する日本が勝つ保証はない。

 あえていおう。「ドン・シン」と呼んでもいい二人の信頼関係と日本の追随外交は、壁にドーン、景気はシーン、つまり「ドーン・シーン」に引きずり込む関係だよと。