to94.jpg

  とにかく、最後まで読んでください。アレー、ですから。

 借金を多額に抱えているが、お堅い経理課長のおかげで何とか回している会社がある。
 そこに雇われ社長が就任した。自分の名前を冠した社訓をぶち上げ、弁だけは立つので会社再生の期待がかかったが、ちっとも実績は上がらない。
 本来ならとうの昔に社長解任になってもおかしくないが、権謀術数にたけているため取り巻きをポチで固め、人事権をフルに使って反対勢力をおさえこみ、社内では密告制度を採用して文句を言わせない態勢を作ってしまった。
 取引先にはすり寄ってゴマをするので、ソコソコ実体のない人気を保っていた。
 社内を抑え込み、取引先の人気があるので、この社長すっかりワンマンぶりが板につく。
 なにをやっても、傲慢な口をきいても、俺は何でもできるとブイブイだ。

 この社長、会社交際費で通う銀座のホステスに入れ込み愛人関係になった。世の常、惚れ込んだホステスが自分の店を持ちたいと言い出した。
 雇われ社長の身の自分の財布では到底無理。会社は借金まみれだが、なにしろ何でもできるワンマン体制を作ったので、この社長、ポチに命令。銀座にクラブを出す金を会社で用意しろと。
 金を出すといってもホステスに会社の金を貸すわけにはさすがにいかない。お堅い経理課長が渋るのは目に見えているし、下手をすれば背任に問われかねない。
 そこでこの岩盤規制を突破するために、ポチたちが考えたことは、会社の定款を変えて飲食業を当社の業務に加えよう、そこで銀座と言う特区に店をだしホステスをママにすればいいと。
 この計画は株主総会で否決されかねないので、社長とポチたちは密かに計画をすすめ、店の賃貸借契約も秘密裏に取り交わし、多額の保証金も支払って契約書も取り交わした。
 議案は株主総会に突然だして、質疑も強硬に打ち切り、あっという間に採決してしまった。社長と取り巻きのポチたちはしてやったりとほくそ笑む。
 社長はホステスに電話を入れて、密かに進めた計画どおりにいったぞと連絡。喜ぶホステス。やに下がる社長。
 さあ会社の事業だから、店は銀座一の豪華絢爛な店にするぞと内装や調度品に多額の金をつぎ込む。会社に余裕資金はないから、その金は取引先のニチホン銀行からの借入だ。
 借入金は一層膨らんで、利子の支払は多額に上っているが、高級店舗の高額料金でお客から回収すれば借金を簡単に返せると銀行を丸め込んだ。

 さてさて、銀座という特区に高級店舗を多額の金をぶち込んで開店したのはいいが、寄せる不況の影響で客足はさっぱり。高級ホステスを引き抜いた関係で、報酬の支払も多額。
あれよあれよという間に、店は火の車。普通ならすぐに見切りをつけるところだが、なにしろ愛人関係になったいとしいホステスに持たせた店だ。経営は会社の事業だからとワンマン社長はお堅い経理課長を脅して金をつぎ込み続ける。ポチたちの中にはさすがにまずいと思うやつも出てきたが、口に出せない。こうなったら一蓮托生だと腹をくくる。誰もストップをかけるものがいない。

 赤字が止まらず、余裕資金のない本業の資金からも回すようになった。銀行もバカではない。支援をストップするどころか、危険度ランクを上げて回収に乗り出した。店をたたむにも契約期間に満たない解約で保証金は没収され回収できない。調度品は二束三文でたたき売り。残ったのは莫大な借金だけ。あっという間もなく、運転資金ショートでチョン。

 今回のトピックスはこんな作り話ですが、あれれ、どこかで見ているような錯覚がしませんか。錯覚ならいいのですがね。