29年分の路線価から
どうしてこうなったのか税務署に電話して聞いてみた。
回答しないのかと思ったら、資産税担当者から次のような回答があった。
「予算を削減する関係で路線価の評価をやめた結果です。」
国税庁の予算の関係でそんなことができるのか疑問に思ったが、そう断言されたので、妙に納得した。金をかけて評価額の基準を提供するに値しない地域だということかと。
それでもそんなことがあるのかとモヤモヤが消えないので、元資産税職員に聞いてみると、路線価で5万円未満のところは倍率に切り替えることはあるという。
たしかに越生事務所を例にすると、次の推移になる。
27年 相続税路線価 1㎡ 36,000円
28年 相続税路線価 1㎡ 36,000円
29年 倍率 ?
ちなみに、倍率の場合、一般社団法人・資産評価システム研究センターが公開している固定資産税路線価を使うことができるとされている。
同じ地点のその推移は次のとおり。
27年 固定資産税路線価 1㎡ 31,300円
28年 固定資産税路線価 1㎡ 31,000円
29年 固定資産税路線価 1㎡ 30,600円
御覧のように評価額は年々下がっている。
東京は大幅な値上がり
さて、銀座の鳩居堂前の路線価はどうだろうか。
27年 1㎡ 2,696万円
28年 1㎡ 3,200万円 (前年比118.7%)
29年 1㎡ 4,032万円 (前年比126.0%)
単位を間違えないようにしていただきたいが、すごい値上がりである。
朝日新聞の報道によれば、東京では路線価の2.6倍の値段で土地が取引されているという。
日本銀行がばらまいた金が余り、不動産投資過熱に向かっている。
鳩居堂前の路線価は、バブル期を超えた。こうした動きは、上場不動産投資信託(J-REIT=リート)による不動産投資によるもので、ホテル稼働率の向上、オフィス賃料の値上がりで高めの土地を購入しても賃料収入で儲けが出るとの動きによる。
ところが2017年の収益率は4%を切り、収益悪化ラインの3.5%を下回り、バブル崩壊の懸念もあるとしている。
大都市一極集中、地方の疲弊が路線価を通じて、手に取るようにわかる。越生で路線価が消えたことや、銀座の路線価の値上がりに目を疑うが、これが現実のようだ。
さて、東京オリンピックが終わってから、東京の路線価はどうなるのであろうか。
どうも、失われた20年になりかねないのではないだろうか。お金持ちたちの無節操の尻拭いを越生町の住人にさせないでほしいものだ。