大阪豊中市の「森友学園」問題は、なかなか勉強させてくれる。
死語だと思っていた「教育勅語」、いま焦眉の「共謀罪」、はたまた「豊洲」まで思いをめぐらさせてくれるのだから、日本国民はしっかり学ばなければならない。
世間ではありえない
学校法人「森友学園」は「瑞穂の國記念小學校」を開設するため、豊中市の国有地を国から購入した。国からすれば、国有地を払下げたわけである。
国民の財産を民間に払い下げるとき、適正価額で払い下げるのは当然の話だ。
国民の財産を管理する財務省近畿財務局は適正額を9億5,600万円と弾いたが、土地にはゴミが埋設されており、ゴミの処理工事費用8億1,900円を差し引いて1億3,400万円と価格を見積もった。
共産党の志位委員長は2月23日の記者会見で、「評価額9億5,600万円もの土地を、ゴミ処理費用や除染費用を差し引いて約200万円で手に入れた」と指摘している。
国土交通省は除染費用1億3千万円ほどすでに支払っているから、国がこの土地の売却で得た「所得」は200万円ほどにしかならないというものだ。
まだ不明点は多いが、8億1,900万円としたゴミ処理費用の見積りは明らかになった。
この見積りは、土地を管理していた国土交通省大阪航空局が算定したという。土地全体にゴミが埋設されており、9.9メートルの土を入れ替える費用として算出したということだ。
ところがである。
野党の追及に対して国会で答弁した国交省平垣内久隆航空局次長は、「森友学園から、9.9メートルまでの深さの杭打ち工事を行った過程で新たな地下埋設物が発見されたと連絡があった」と答弁。これに対して「どの部分か確認したのか」と追及されると、次長は「実際に9.9メートルの深さに埋設物があったということまでは確認していない。」と認めた。
いやはや、自らはまったく確認せず、相手の言いなりで値引き額を決めたということだ。
ちょっと考えてみよう
国有財産であるから、土地の所有者は我々である。売ってほしいという人がいて、遊ばせている土地だから売るとしよう。
どうもゴミが埋まっているようだから土の入替えが必要なことが分かったとする。
売り手と買い手が交渉し、土地の調査とゴミの処理はどちらがどのように負担するか取り決めを行う。
一般的には買手側が信頼する調査会社を指定して調査するのが普通だ。売り手側の調査では、なるべく汚染を少なくする虞があり、買手は信用しきれないからだ。
いうまでもなく、買い手が調査した結果を売り手に示し、売り手もその調査の信頼度を確認して、その除去費用をどちらが持つかを取り決める。
調査会社は専門性を有し、調査に通常は3カ月はかかる。
こうした段取りを踏んで、土地の売買が成立する。
国会のやりとりを見ていると、役人は資料はすべて廃棄したという。
土地の調査会社の姿が見えない。
まるでありえない話で、深い闇としか言いようがない。
闇というより、隠したという状態であろう。
広大な土地を同志と思しきものにタダ同然で払い下げる。そのために、いま話題の「共謀」を凝らす。
土地全面にゴミが埋まっていたのではなく、値引きの口実を埋めていたというわけだ。
教育勅語の徳目
さて、「森友学園」理事長の好きな「教育勅語」は12の徳目を説いている。
・進テ公益ヲ広メ世務ヲ開キ (広く世の人々や社会のためになる仕事に励みましょう)
・常ニ国憲ヲ重シ国法ニ遵ヒ (法令を守り国の秩序に遵いましょう)
という徳目から見て、理事長や官僚たちの動きはどうなのか。
・朋友相信シ (友だちはお互いに信じ合いましょう)ということだから、ワル友達でもまさか徳目にかなっているとか。
待たれる豊洲の解明
豊洲ではこれとは逆に使えない土地を高額で東京都が買い取った。これも常識ではありえない話で、ここでもさまざまな「共謀」があったのではないか。百条委員会における真相究明が待たれる。