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  道徳教科書の検定

 小学校の道徳で使う教科書の初めての検定が終わったと朝日新聞が報じた。
 文部科学省が検定に積極的に関与し、あれこれ指摘して書き直させたことが記事になっている。

 「パン屋」を「和菓子屋」に変更。
 「アスレチック公園」を「和楽器店」に変更。

 記事は、この変更は文科省から「パン屋がダメというわけではなく、教科書全体で指導要領にある『我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着を持つ』という点が足りないため」という指摘を受けて、出版社が日本らしいものに修正したとしている。

ここの官僚も「忖度」?
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   敵性語は禁止

 15年戦争時、敵性語の使用が禁止された。当時の陸軍が強引に推し進めたもので、次のような言い換えが行われたとされている。愛国精神を培うためだ。

 カレーライス→辛味入汁掛飯(からみいりしるかけめし)
 コロッケ→油揚げ肉饅頭
 サクソフォーン→金属性先曲がり音響出し機

 どうであろうか。筆者は文科省の検定指導は陸軍の敵性語禁止とダブってみえる。

  右傾化と利権で共闘?

 「森友学園」の教育方針を手放しで持ち上げた安倍首相夫妻である。安倍首相は「戦後政治の総決算」「美しい国」づくりを目指しているが、要は戦前への回帰に他ならない。
 情緒的で時代錯誤といろいろな人が批判しているし、筆者もそう思うが、文科省の官僚たちは安倍夫妻の気持ちを忖度して、敵性語と思しきものの変更を迫ったとみてとれる。
 どうも安倍政権になってから官僚たちの忖度がエスカレートしているようだ。

 忖度して動く官僚たちは官僚たちでその見返りを求めるのも当然で、それは文科省官僚のやりたい放題の天下りであり、暴露がなければうまい汁を吸い続けていたであろう。
 財務官僚は文書を破棄してもお咎めなしだ。
 
 こうした国の形を見ていると、右傾化というより、右翼支配の危険水域に入ったといわざるを得ない。
 しかも利権が跋扈しているのだから、気品のかけらもない。

 政治家も官僚も国の運営に必要な存在だ。もう少し高潔な人たちに総入れ替えしないと、日本の未来は暗い。明るい兆しは野党共闘の発展と若者たちの行動だ。機は熟しつつある。