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   無年金者増大

 「国民皆年金」、「100年安心の年金」と政治家はいうけれど、25年間延々と掛金を払い続けなければ、年金の受給資格は得られない。
 非正規雇用や失業期間の長期化は長年の社会問題になっているし、商売の浮き沈み廃業で掛金を払えない人がたくさんいる。
 何とか払っていても、25年に達しない人もたくさんいる。
 

   受給資格の改正は急がれる

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 25年間というのが曲者で、極端な話、24年11カ月間支払ってもその後が続けられなければ無資格者となり、掛金は没収、年金はゼロということになる。
 そんな馬鹿なと思うかもしれないが、不安定雇用が常態化している今の時代をこのまま引きずっていけば、これからの世代で相当数の人々が年金ゼロとなりかねない。
 その結果、生活保護費の受給世帯は間違いなく増加していくことになる。

    「年金強化法」

 このような情勢を受けて、24年8月に「年金強化法」といわれる法律が制定された。
 正式名称は「公的年金制度の財政基盤及び最低保証機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」である。
 主要な改正のひとつが、年金の受給資格期間の短縮である。
 老齢基礎年金の受給資格期間を25年から10年に短縮する。
 ただし、実施時期を消費税10%引上げ時にあわせると規定している。
 財源を消費税引上げと連動させるというわけで、安倍さんの1年半先送りがなければ27年10月以降この改正が適用となるはずであった。
 10年以上にわたり掛金を支払ったが、25年に満たなくて年金がゼロだった人を仮にAさんとしよう。
 Aさんは、27年10月以降は資格者となり年金が受給できることになるはずであった。
 ところが、29年4月まで年金の改正も先送りとなるのだから、むごい話である。

    すぐに救済が筋

 65歳以上の無年金者は約42万人いて、そのうち10年以上掛金を支払っている人は約17万人。この17万人が要件緩和の対象となるが、それに要する公費は3,000億円程度といわれている。
 この人たちは掛け金を支払っているのに受給はゼロなのだから、詐欺の被害者と同じである。一刻も早く救済してあげるのが筋というものだ。
 消費税は1%で2.5兆円の税収となる。5%から8%に、3%引き上げたのであるから、すでに7.5兆円の財源が確保され、それはすべて社会保障の財源とするとしているのであるから、10%の引き上げを待たなくても財源は確保できている。

 「年金強化法」とおためごかしの法律も、実は消費税引上げの撒餌で、国民を愚弄しているもいいところだ。
 将来を見据えても、要件緩和措置はすぐにやるべきで、10%引き上げと連動させる規定を選挙後直ちに改正すべきである。そのためにも、社会保障を充実させる政党を選びたいものだ。