安倍さんが進める破壊的政策
新米の季節はうれしい。
しかし、農家にとってはお先真っ暗な秋になっている。
コメの価格が昨年に比べて大幅に値下がりし、生産コストを賄えない水準になっている。
農家はいう、「米を作るとメシが食えない」どこかろ、田んぼを売り渡さなければならないと。
全農はこれまで、コメ出荷の段階で、販売予想価格を支払う「仮渡し金」方式を取ってきた。ところが今年から、まず一部を「内金」として渡し、残りは市場価格の動向を見ながら追加額を支払う方式に改めた。
内金の基準価格が60kg=7,000円と決めたことから、これが市場の“下限”と関係者から受け止められ、相場が大きく揺らぐことになったわけだ。
東北の実態が報じられている。
福島県中通り産コシヒカリは7,200円にとどまり、前年比3,900円の急落。
秋田県産あきたこまちは8,500円で、3,000円の減少。
東北農政局によると、コメ60キロ当たりの生産費調査(12年産、地代などを含む)は平均14,094円、耕作面積5ヘクタール以上の大規模農家で11,432円というから、14年産米の価格はほとんどの品種がこれを大幅に下回った。
農業関係者からは、政府が打ち出した生産調整廃止=減反廃止が、米価下落の悪循環を招きかねないと懸念する声が上がっている。価格暴落の最大要因は需要減で膨らんだ在庫量。18年度がめどとされる減反廃止で主食用米の過剰作付けが増えれば、さらなる下落に直結しかねない。
これが本音
安倍政権は、農業者所得の向上を掲げて農政改革を打ち出したが、実は狙いはそんなところにはなかった。
26年1月22日、スイスのダボスで開催された「世界経済フォーラム年次会議」の冒頭で安倍首相が演説し、国際公約したことは……
「40年以上続いてきたコメの減反を廃止します。民間企業が障害なく農業に参入し、作りたい作物を、需要の人為的コントロール抜きに作れる時代がやってきます。日本では久しく『不可能だ!』と言われてきたことです。これらはみな、昨年の秋、現に決定したことです。」
もはや解説は不要なほど、ズバリの狙い。
農業は民間企業が儲けのためにやるのだ。必然的に、農民はいらない。かえって邪魔だから、それを潰す政策を臆面もなく実行し、世界に向かって宣言しているのが安倍さんだ。
全農は、農家を守るために存在するはずだが、全農を潰すと言われて腰が砕け、農民破壊政策のお先棒担ぎに走ったのだから情けない。
民間企業は儲けがすべての判断基準となる。遺伝子組み換えの種子をアメリカ・モンサントから購入して作付けし、除草剤をつかい、農薬を大量に投入して、確実に利益が上がる農業を行う。
それでも儲けにならなければ、農地を放棄して業転するだけだ。
まさに、あとは野となれ山となれ。
新米の季節。コメの値段が安くなって消費者としては喜ばしいことだが、その背景にある破壊的政策を噛みしめなければならない。
安倍さんの推し進めている農政改革は、日本の将来を破壊する。日本の子供たちの未来を破壊する。
将来を展望できるまともな政治家がとってかわらなければ、日本は本当に危ない。