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 シンキロウといわれる森喜朗元首相。
 物議を醸す発言が少なくない。
 今回も見事にやってくれた。
 フィギアスケート浅田真央選手のショートプログラムの演技後である2月20日、森さんは講演で次の発言をした。
 「何とか頑張ってくれと思って、みんな浅田さんを見ていたが、見事にひっくり返っちゃいましたね。あの子、大事な時には必ず転ぶんですよね。」
 お茶の間でテレビを見ながらの素人解説なら、何の問題もないのだが………。

 森さんは2020年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長という公人である。
 そんな人が、選手を侮辱し、傷口に塩を塗り込めるような発言をしたのだから世間から非難が起きた。

 ソチから帰国した浅田選手に外国人記者がこの問題で質問した。
 浅田選手は「あ~、そんなことを言っていたんだ、と思いました。人間なので失敗することもありますし、自分も失敗したくて失敗したわけじゃないので、それはちょっと違うかなと思いました。私は別に何とも思っていないですけど、森さんも今は発言を後悔しているんじゃないかな」と笑顔で応じた。
 日本人記者が何を遠慮したのか、それも悲しいものがあるが、浅田選手の対応は見事というほかない。

 シンキロウこと森喜朗氏は、実は自分の発言をきっかけとして首相退陣に追い込まれた。
 首相をしていた2000年5月15日、「神道政治連盟国会議員懇談会」で「日本の国、まさに天皇を中心にした神の国であるぞ、ということを国民のみなさんに承知していただく」と挨拶した。
 この発言をきっかけに、低迷していた支持率が急降下し、最後は10%を切って退陣となった。

 浅田選手に逆らうようで心許ないが、もうお判りのように、森さんは自分の発言に対して後悔するような人ではない。

 森さんは東京都知事選をめぐっても物議を醸す発言をした。
 「五輪のためにはもっと電気が必要になる。今から(原発)ゼロなら、五輪を返上するしかなくなる。」
 この発言、ILOに提出した立候補ファイルでは、現状(原発稼働ゼロ状態)で「電力は対応可能」としていたことと矛盾する。
 要するに、後先考えずに、いま思いついたことを口にするということなのだろう。

 しかし、「大事な時には必ず転ぶ」という森さんのフレーズは、なにしろ有名なフレーズになったのだから、応用が利くし、結構いろんな場で使えるので森さんには感謝したい。
 早速使ってみると、「森さんは、大事な時には必ずポカ発言をする」とか、
 「NHKの会長は、大事な時に必ずボロをだす」とかね。