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 1月29日、東武東上線の踏切で軽乗用車が電車と衝突。ほぼ午前中いっぱい、電車の運行ができなかった。
 この踏切事故は、踏切近くにあるポストに投函するため、踏切手前に止めた車から女性運転手が下りてポストに向かったところ、オートマ車が自然に動き出して線路内に入り込み、そこに電車が来て衝突し大破したもの。防犯カメラがこの一部始終をとらえていて、衝突の瞬間をニュースで流していた。けが人は出なかったが、車はグチャグチャで電車に潜り込み、復旧に時間がかかったようだ。運転手の不注意としか言いようのない事故である。

   東上線 とにかく 踏切 多すぎ

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 東武東上線では1月20日にも人身事故で朝のラッシュ時に電車がストップ。
 東武越生線では1月24日に車両故障でこれまた昼から暫く電車が動かなかった。会議の時間が迫っており、職員の車で坂戸に出ざるを得なかった。職員の勤務時間が2時間ほど無駄になった。
 10日あまりの間に3回も電車が長時間にわたり動かなかったのだが、東武東上線と越生線を通勤ルートにしている筆者は、この3回すべてで足を奪われる被害にあった。当然、振替輸送や車を利用したが、時間は奪われるし、気持ちはイライラするし、いい加減にしてくれと文句の一つも言いたくなる。
 数年前に、「呪われた中央線」なる言葉が流行ったが、中央線が東武東上線に置き換わったようだ。

 ところで、この不注意さんの場合いったいどんなことになるのか気になった。
 認知症の人が電車を止めたことに対して、JR東海が遺族に対して損害賠償請求を行い、名古屋地裁が720万円の支払いを命じる判決を出したという記事が1月12日に出たばかりだ(遺族が控訴中)。
 名古屋地裁判決を報じた毎日新聞の記事によると、認知症者の鉄道事故で、東武鉄道は2件、近鉄、名鉄がそれぞれ1件で16万円から137万円を請求していたそうだ。
 請求内容は、事故で生じた鉄道会社社員の時間外賃金や振替輸送代だそうで、4件とも遺族が賠償金を支払っている。
 東武鉄道はしっかり請求する会社だと、認識しておきたい。

 京王線の踏切で起きた電車と乗用車の接触事故は、渡っている途中で遮断機がしまったことに動転した女性運転手が車から逃げ出したことが原因で、この場合、保険適用外で数億円の賠償が予想されると言われた。
 このような事故で1億2千万円請求された例があるからだ。

 電車の車両代、線路や枕木、電柱の修理代、振替輸送費などが積算されていくので、ラッシュ時に電車を止めるような事故を起こせば自然と請求額が増えることになる。
 対物無制限の自動車保険に入っていても、エンジンやブレーキの故障などの正当理由がなければ保険は下りず、東武の今回の事故のように不注意で車を侵入させた場合は本人過失とみなされ、億円単位が全額個人負担になる可能性もある。

 電車利用者の損害も大きいものがあるが、鉄道事故で電車を止めるようなことにならないよう、お互い注意が肝心というわけだ。
 注意1秒、ケガ一生!人生には、上り坂、下り坂ともうひとつ、「まさか」がある。
 「まさか」こそ避けなければならない坂であり、これは注意すれば避けられるのだから、肝に銘じておきたい。