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  経済産業省、関連事業団体に要請文
    下請取引の適正化、現場は話題にもならず

 3月11日、経済産業省と公正取引委員会は大臣と委員長の連名で二つの文書を発出しました。
 ひとつは、「下請取引の適正化について」という要請文で662団体に送付。
 もうひとつは、「下請事業者への配慮等について」という要請文で761団体に送付。
 特にいま必要な対策として求められる下請取引適正化の要請文では、各事業団体に対して、次のことを周知徹底するよう求めています。
① 年度末の金融繁忙期を控え、親事業者は、下請代金を早期にかつ現金で支払って下請事業者の資金繰りに支障をきたさないようすること。
② 厳しい経済状況下で、買いたたき・契約後の下請代金減額など不当なしわ寄せが懸念されるので、「下請代金支払遅延等防止法」(以下、「下請法」)を遵守すること。
 脅し文句として、公正取引委員会は違反行為について実地調査の割合を増やし、指導監視を強化するとしています。
 年度末のことを要請したのですから、3月末に下請事業者が変化を享受するはずですが、関与先では話題にもなりません。少なくとも要請文が下請事業者の手元に届き、親事業者との間で共通認識にならなければ、入口の話し合いにもなりません。

   みんなで話題にしよう
      「下請法」の遵守事項

■要請文が別紙で掲げた遵守事項の題目は次のとおりです。

 <親事業者の義務>
1 書面(注文書)の交付及び書類の作成・保存義務
2 下請代金の支払期日を定める義務及び遅延利息の支払義務
 <親事業者の禁止行為>
1 受領拒否の禁止(注文した物品等)
2 下請代金の支払遅延の禁止
3 下請代金の減額の禁止
4 返品の禁止
5 買いたたきの禁止
6 物の購入強制・役務の利用強制の禁止
7 報復措置の禁止
8 有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止
9 割引困難な手形の交付の禁止
10 不当な経済上の利益の提供要請の禁止
11 不当な給付内容の変更・やり直しの禁止
                     以上
*詳しくは経済産業省のホームページを閲覧ください。

  公正取引委員会の動きを見ると、最近5年間で、親事業者による「買いたたき」に対する是正勧告はわずか1件、「一方的発注打ち切り」の是正勧告はゼロです。こんな実態ですから脅し文句も効くはずがありません。
 下請事業者がいま大変な状況に追い込まれていることは政府も捉えているのでしょう。
 しかし、対策がいかにもお座なりで、これでは単なるアリバイ作りです。
 大企業や親事業者も大変な状況でしょう。そのしわ寄せを下へ下へ押し付けてきた結果、日本経済が揺らぐ状況に拍車がかかってきました。社会的責任を持ち、日本資本全体が適正な循環を築いていくことが不可欠です。
 政府は、関係事業団体任せにせず、政府広報としてテレビや新聞で繰り返し宣伝したり、下請事業者にパンフレットを行き渡らせるなど、予算の有効な使い方があるはずです。
 また、苦情の駆け込み待ち、相談待ちという待ちの行政ではなく、公正取引委員会と中小企業庁が調査や指導を見える形で展開し、勧告機能を十分に発揮するなど、打って出る行政が求められているのです。