安倍首相の危険な入れ込み
特定秘密保護法を制定しようと安倍政権は強引さを増している。
権力者、つまり政権の限られた一部(政治家や官僚)が特定秘密だと指定すれば特定秘密になり、それを漏らすものや手に入れようとしたものは実刑に処すというのが特定秘密保護法である。
政治家はいい加減だから、実質的には官僚が情報を管理することになり、取り締まることになる。取締りの対象は公務員だけに限らず、一般国民も対象となる。
加えて、「国家安全保障会議」(日本版NSC=National Security Council)を設置する法律をセットで推し進めている。
現在は内閣に「安全保障会議」があるが、ゆるい機能しかないので、外交・安全保障の「司令塔」として米軍と軍事戦略・情報を共有する情報機関として設置し、秘密保護法とセットで情報秘匿を徹底するとしている。
安倍さんが政権を放り投げた第1次安倍政権で潰れた経過があるため、安倍首相の入れ込みは尋常でないという。
TPPも対象の可能性
どんなことが起きるのか。その一例が早くも取りざたされている。
特定秘密保護法案を担当する森雅子担当相は、TPP交渉内容が秘密保護法で漏えいを禁じる特定秘密に該当するとの認識を発表した。
政府はこれまで貿易関連情報は秘密の対象外としてきたが、国家や国民の安全保障にかかわる事項になれば該当するというのだ。
TPPで農産物の関税が撤廃されれば、農業生産者は壊滅的被害を受ける。したがって、交渉担当者がどのような交渉を進めているのかチェックし、圧力をかけるのは当然のことだ。ところが行政機関の長が、食糧確保が国家の安全保障にかかわるので特定秘密だとすれば、何の規制も受けず特定秘密になるので、農協幹部がチェックのために情報を求めたとしても拒否されたり、情報を得ようと働きかけるとその行為が教唆・扇動だとして逮捕されることになる。
この例でも分かるように、国家の安全保障はなんでも対象となってしまう。
エネルギー安保、教育安保、頭脳安保、医療安保………
これに情報機関がセットで運用されれば、戦前の治安維持法と特高警察の復活といってもいい。
森担当相の発言が、法案成立の障害になりそうな雲行きになり、政府はうやむやにしようとバタバタしている。そんな姿は、秘密保護法の狙いを逆に明らかにするものだ。
TTPでいけ!
「TPP」ではなく「TTP」というのがささやかれている。
「徹底的にパクレ」という略語である。
なんとも物騒な隠語で、特高警察とゲシュタポを想起させる。
安倍さんの顔が妙にヒットラーに似て見えるのはコラム子だけ?
ラルフ・ネーダーは「情報公開は民主主義の通貨だ」といった。
対極にある特定秘密保護法と日本版NSCには断固反対したい。