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 毎度のことなので、政治家や政党の動きがトピックスになるのか甚だ心許ないが、とんでもない国会のドタバタと選挙にらみの動きはおさえておきたい。

   笑うに笑えないドタバタ
 
 消費税増税を議決した第180国会が9月8日に閉会する。民自公によって議会制民主主義を破壊した国会として、また、自民党の病状悪化が露呈した国会として、歴史に名を残すだろう。
 8月29日、7野党が提出した野田首相の責任を問う問責決議に、自民党が賛成し可決された。
 問責決議は、「国民の多くは今も消費増税法に反対しており、今国会で消費増税法を成立させるべきではないとの声は圧倒的多数となっていた。最近の国会運営では民主党・自由民主党・公明党の3党のみで協議をし、合意をすれば一気呵成(かせい)に法案を成立させるということが多数見受けられ、議会制民主主義が守られていない。参議院で審議を行うなか、社会保障部分や消費税の使い道などで3党合意は曖昧なものであることが明らかになった。国民への約束、国民の声に背く政治姿勢をとり続ける野田佳彦内閣総理大臣の責任は極めて重大である。」という内容である。
 国民の声を無視した消費税増税はけしからんと叱ったものだ。
 3党合意の役者である自民党が、この決議に賛成した。自分のやったことをけしからんと自分で叱ったことになる。これはもう漫画の世界であるが、いまどき笑いをとることはできない。自民党の病状は悪化の一途をたどっているようだ。
 
   今度の一票は重い
 
 3党は、「近いうち」解散を条件として増税を合意したのだから、近いうちに選挙が行われることになろう。
 ただ、近いうちを常識的に判断はできない。狸と狐、魑魅魍魎がうごめくなかでの話である。会期中、年末、年明け早々、衆参同時選挙がとりただされているが、解散権を行使できる首相が、自分の政党に一番有利なとき、まさに党利党略で解散するからだ。
 生活や経済活動などは眼中になく、国民は振り回されることになる。
 だが、たとえ振り回されたとしても、今度の選挙での一票は重い。消費税増税を食い止め、脱原発を確かなものとし、TPPを食い止めることになるからだ。
 
   扇動政治家の思うツボ
 
 いつかは分からないが、「近いうち」の選挙をにらみ、政治家たちの動きもかまびすしい。
 とりわけ、地域政党の扇動政治家が国政に進出を狙っており、既存の政治家たちが右往左往している状態だ。
 この動きを報道するテレビ、新聞、週刊誌も完全に異常だ。すべてのマスコミが、扇動政治家の事前選挙活動の具に成り下がっている。
 
   変なことがいっぱい
 
① 政党要件
 政治は選挙によって選ばれた議員によって行われるが、政党と選挙に関して、案外知らないことが多い。
 政党選挙といわれるように、国政選挙は政党の存在が大きく左右する。
 政治信条を同じくする人が複数寄り集まれば、誰であっても政党をつくれる。居酒屋で意気投合すれば、「飲んベイ親父党」を結成し、選挙に打って出ていいわけだ。
 ところが、公職選挙法で政党の要件が決められている。第86条1項で、①衆・参あわせて国会議員5人以上か、②過去選挙で得票率を2%以上獲得しているか、いずれかを満たしていなければ政党要件を満たさないとされる。政党助成法も同じ要件である。
 つまり、選挙に出ることはできるが、「飲んベイ親父党」は政党要件を満たしていないのでいろいろと制約を受ける。
 ちなみに現在国会に議席を有している政党は次のとおり。

民主党
自由民主党
国民の生活が第一
公明党
みんなの党
日本共産党
社会民主党
新党きづな
国民新党
新党大地・真民主
たちあがれ日本
減税日本*
新党改革
新党日本
改革の志士*
沖縄社会大衆党*

<注> *印は政党要件を満たしていない政治団体
 橋下氏が国会議員5名を取り込もうというのはこのためである。
 
② 未成年者
 選挙権が満20歳以上の者に付与されることは常識的に知られているが、選挙運動に関しては公職選挙法に次の規定がある。
 
(未成年者の選挙運動の禁止)
第百三十七条の二  年齢満二十年未満の者は、選挙運動をすることができない。
 何人も、年齢満二十年未満の者を使用して選挙運動をすることができない。但し、選挙運動のための労務に使用する場合は、この限りでない。
 
 将来の世代の借金を残してはいけないと野田首相は消費税増税に突き進んだ。しかし、将来世代は重い消費税負担とはかなくしぼんでいく社会保障の二重苦を味わうことになる。
 今国会のやったことは、将来世代に更なる負担を負わせるものだ。
 選挙権はなし、選挙運動もやってはならない、としておいて、その人たちの将来を勝手に決めるのはいささか正義に反する。
 すくなくとも選挙運動を保障してこそ正義というものだ。職について、税金を納付している20歳未満の人も沢山いるではないか。
 
③ 人気投票
 公職選挙法をまず見てほしい。
(人気投票の公表の禁止)
第百三十八条の三  何人も、選挙に関し、公職に就くべき者(衆議院比例代表選出議員の選挙にあっては政党その他の政治団体に係る公職に就くべき者又はその数、参議院比例代表選出議員の選挙にあっては政党その他の政治団体に係る公職に就くべき者又はその数若しくは公職に就くべき順位)を予想する人気投票の経過又は結果を公表してはならない。
 
(新聞紙、雑誌の報道及び評論等の自由)
第百四十八条  この法律に定めるところの選挙運動の制限に関する規定(第百三十八条の三の規定を除く。)は、新聞紙(これに類する通信類を含む。以下同じ。)又は雑誌が、選挙に関し、報道及び評論を掲載するの自由を妨げるものではない。但し、虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない。
 
 先に触れたが、マスコミはこぞって人気投票をやっているような状態である。違法だといっていい。
 扇動政治家の手法が上回っているということになるが、加熱すればするほど国民を欺くことになり、戦前のマスコミが果たした役割を省みなければならないと思う。
 この秋、情報に振り回されないで、冷静に判断する目を養いたい。