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  「猿芝居」のような菅内閣不信任騒ぎ

 「私は復興事業の第一は、『人間の復興』でなければならないと主張する。」 ― 関東大震災の後、復興の根本理念をこう宣言した吉野作造(経済学者)。大正時代のことである。
 復興とは、人間の『生存』の機会を復興することである。
 『生存』の機会とは、生活・営業・労働の機会の復興である。
 今、東日本大震災の被災者支援で最も遅れているのは『生存』の機会、すなわち生活・営業・労働の機会の復興である。
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  “菅直人はキライだ。”“菅首相である限る国会審議には応じられない。”“菅総理がやめることが東日本大震災の復旧、復興につながる。” ・・・ と政治権力闘争に明け暮れ、内閣不信任案の提出・否決の大騒ぎ。挙句の果ては“民主、自民、公明の大連立だ。”“菅総理は何時辞めるのか。”“俺は粘りの菅だ。”と続投に意欲を燃やす菅直人。“国会の会期延長は50日で合意した。70日では反対だ。”ついたところは“内閣の大幅改造だ”“禁じ手の引抜だ” ・・・ あきれる以外言葉もない。
 6月25日提出された東日本大震災復興構想会議の提言は、「復興への提言 ~ 悲惨のなかの希望 ~ 」と題されている。
 破壊は前触れもなくやってきた。
 かつてこの国の『戦後』をずっと支えてきた“何か”が音を立てて崩れ落ちた。
 パンドラの箱があいた時に、人類の上にありとあらゆる不幸が訪れたのと類似の事態。 しかし、パンドラの箱には、たったひとつ誤ってしまわれたものがあった。『希望』であった。
 “小説”のような空疎な“美文”の羅列に終始している。
 東日本大震災復興構想会議は、菅直人首相の肝いりで4月設置された。
 この「提言」は、復興という美名のもとに大企業による道路や港湾などの大規模開発を優先、水産漁業、農業分野へ民間大企業算入を容認、その財源として基幹税(所得税、法人税、消費税)の大増税を含む、被災地住民の生命と暮らしを後回し、破壊する提言である。
 「創造的復興」の名で『人間の復興』『被災地の願い』を踏みにじる提言である。
 東日本大震災から3ヶ月半、生活再建の遅れ、地域経済全体の停滞から被災者をはじめ日本国民の復興への“意欲”“希望”が「絶望」に変わりかねない。
 まさに、政治も経済もメトルダウンしている。

  公務員賃金引下げ法案に反対 !

 6月3日、政府が閣議決定した公務員の賃金10%引下げ法案。公務員労働組合だけでなく、人事院やマスコミ各社からも批判がでている。
 人事院総裁は「国家公務員法28条の定める手続によることなく ・・・ 給与の減額措置を行う」こと、「一部の職員団体(御用組合・筆者加筆)との間で合意に至ったものの、反対を表明している職員団体があるほか、職員団体に属していない職員も多数いる」ことを表明し、「遺憾といわざるを得ません。」と談話を発表した。
 東日本大震災復興財源を捻出する。と、法的にも手続き的にも違法、不備を承知で法案を閣議決定し、政治の“茶番劇”のなかで押し通そうとする姿勢は東日本大震災復興構想会議の姿勢と同質である。
 国家公務員給与10%削減するとめぐり廻って税収5400億円の減収となる。 ― 民間シンクタンクの試算結果
 まさに経済は、 ―めぐり廻って元に戻る ― の言葉通りである。
 試算は国家公務員賃金を含め影響者約625万人の給与が10%減額されると、家計消費は約2兆6000億円の減少(総務省の産業関連表使用)。国と地方を合わせ税収は5400億円の減収という結果だ。
 “天にむかってツバをする”とは、まさに無能な政治・経済にも当てはまることだ。