世界遺産である日光東照宮への観光客95%減との報道があった。外国人観光客はほとんどキャンセルというが、外国人観光客は全観光客の30%程度というから日本人観光客が65%キャンセルだ。
先日(4月15・16日)事務所の職員旅行は箱根であった。ホテルは貸切り、途中のドライブインでは通常800人位の団体客があるが今日は50人という。レストランは閑散としており、私たちを含め団体客は2組であった。
箱根登山鉄道、ロープウェイも待ち時間なし、大涌谷の人気もまばらであった。
震災 ・ 景気下押し
こんなときに ・・・ お花見中止、お祭り中止、社員旅行も家族旅行も新入社員歓迎会も ・・・何もかも中止。
大震災とそれにつづく電力制限、原発事故と放射能漏れ、消費手控え(自粛)で4~6月の景気はマイナス成長が避けられない。
マインド悪化に伴う個人消費は最悪である。
企業や家計の景況感を示す3月の景気ウォッチャー調査は、過去最大のマイナス(前年同期比35%減)の記録となった。
青森ねぶた祭りや盛岡さんさ踊り、弘前さくらまつり、仙台七夕まつりなどは例年どおり開催されるとのことである。
旅行会社や観光関係者は、自粛ムードが経済復興の妨げにならないよう「東北復興応援ツアー」を販売中だ。
大震災により、東北・関東だけでも39万人以上の宿泊予約がキャンセルされ、廃業・休業に追い込まれた宿泊施設も出ている。さらに、従業員の解雇や農林水産品の消費にも悪影響が出ている。
大型連休を迎え、1日も早く自粛不況を脱し、地域の活性化と経済の復興を私たちの消費で支えなければならない。
原発事故 ・ 放射能漏れ 風評被害 偏見・差別
原発事故・放射能漏れによる風評被害は、野菜や乳製品、水産品に止まらず、工業製品にも及んでいる。
葉物野菜や原乳、水産物から暫定規制値を超える放射能物質が検出され、出荷制限がかけられたが、放射能物質が検出されない農産物や食料品も福島というだけで店頭から姿を消した。さらに、工業製品、古紙や鉄スクラップに至るまで、日本というだけで輸出できない状況だ。
海外の取引先は放射能に敏感になっている。半導体や鉄スクラップ、自動車といった工業製品は〝引き合いが減った〟〝引取りを拒否された〟〝荷揚げを断られた〟
国内では「福島」というだけで拒否され、国外では「日本」というだけで断られる。
“福島県民というだけで宿泊を断られた”“福島ナンバーの車を駐車したら出て行けと言われた”“福島県民と判るようにプレートをつけてくれと避難先で言われた”“避難先の学校で放射能がついているとイジメられた”。 ・・・ に至っては偏見・差別のなにものでもない。
放射能汚染が無いことを証明せよ。との対象はオムツや哺乳ビン、消しゴムから工業機械、乗用車、人に至るまで様々である。
これらの風評被害、偏見・差別が長引けば日本経済の復興も大きな遅れが懸念される。
国による早急な対策が望まれる。
需要抑制(自粛)論は誤り
一部の経済学者は、総供給が減少したので総需要も抑制しないと金利の高騰と悪性インフレが生じると論じる。今必要なのは、総需要の抑制(自粛)だという。
大震災の後、物価がどちらの方向に振れるかは不確定である。しかし、自然災害はインフレ率にほとんど影響を及ぼさないという。関東大震災、阪神大震災後のインフレは起こらなかった。
自粛や先行き不安で人々が買い控えるなら総需要は落ち込む。デフレが続くか、さらにひどくなる可能性も大きい。
地震や津波も深刻だが、原発事故・放射能漏れは日本の危機管理体制の欠如を露呈した。1990年代から日本経済は失政に悩まされてきた。バブルの対応、不良債権処理、制度改革、デフレ対策と後手、後手に回ってきた。
総需要の抑制は被災者のみならず、国民全体に追い打ちをかける。
大震災後の経済政策に必要なのは危機管理の視点である。