震災の直接被害は16~25兆円以上
| 一日も早く、元気な船出を
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年間漁獲高1000億円、全国シェアの2割を賄っていた岩手、宮城、福島3県の漁船や港湾はほぼ壊滅し、水産業は「全滅」の状態です。
「日本の食」を支えてきた東北6県、東日本大震災は全国の台所にも大きなショックを与えます。
東北4県に3万2000社 売上高は9、9兆円
今後の東北経済をけん引すると期待されていた自動車やITなどの製造拠点も操業停止が相次ぎ、再開のめどは立っていません。
東京商工リサーチが先月24日発表した「東日本大震災関連調査」によると被害が大きかった東北4県の太平洋沿岸に本社を置く企業数は約32,000社です。
売上高は判明した分だけで9兆9000億円。個人企業を含めると経済的損失はさらに拡大します。
福島第1原子力発電所の事故による被害もさらに影響する恐れがあり、被災企業の取引先にも影響が及びそうで政府による早急な経済対策が必要です。
また、福島第1原子力発電所の事故により避難勧告の出ていない(30キロメートル)以遠の観光旅館でキャンセルが相次ぎ、廃業に追い込まれています。福島第1原子力発電所の事故の安全回復が長引けば長引くほど、何の責任もない人たちの生活が脅かされるでしょう。その意味で政府、東京電力の責任は重大です。
国内金融市場は、東日本大震災後で高まった悲観論が収まりつつあります。株式市場では先行き不安を映す「予想変動率」が低下してきました。日本国債の債務不履行に備える保険の「保証料率」も急激な上昇に歯止めがかかっています。
しかし、福島第1原子力発電所の事故への警戒感は強く、震災や計画停電とともに原子力発電所の復旧対応が今後の景気に大きな影響を与えそうです。
電力料金値上げ ? 低所得者の健康と安全に甚大な影響 !
東京電力が先月25日発表した受給見通しは、重要がピークとなる7月末、850万キロワット(需要比15%)の供給不足に陥る見通しです。
現在は計画停電で大規模停電を回避していますが、公平と節度ある計画停電により利用者の不満や混乱を解消し、すべての人、すべての企業が自立的に節電できるなら望ましいことでしょう。
最も経済的、典型的な節電のインセンティブ(誘因)は電力料金の値上げです。東京電力も電力不足対策としてピーク時の電力料金値上げを検討しています。与謝野経済財政担当相も家庭用電気料金の値上げを提案しました。自立的な節電よりも価格による調整の方が効果的でしょう。
しかし電力料金を値上げされても価格に転嫁できる企業や支払える家庭はよいですが、価格に転嫁できない中小企業や低所得者はどうなるのでしょうか。生活の命綱である電気まで弱肉強食の経済を持ち込むのか・・・と言いたいです。
電力料金の値上げが強行されれば、価格に転嫁できない中小企業の経営と暮らし、低所得者の夏場の健康と安全は脅かされます。
東京電力管内では、需要全体の3割程度にすぎない一般家庭を巻き込んだ値上げよりも、大口需要者への供給制限や商業施設、レジャー施設の営業時間短縮など直接的な節電策のほうが最悪の事態を回避する点からは有効だと思うのですが・・・。
被災地ではまだ電気、水道も使えない人、また計画停電で一家団らんの夕食さえままならない生活をしている人からみると、不公平にも一度も計画停電にならない地域、計画停電にならない時間帯の地域の商業施設、レジャー施設や高級マンションの地下駐車場には明々と電気を照らしていることに違和感をもちます。
政治家や専門家の多くが今回の震災や原子力発電所の事故を「想定外」と繰り返します。私たちにこれほどむなしく響く言葉はありません。あらゆる知恵を働かしても人間のやること、未来に絶対はありません。その意味で「想定外」は「想定内」でなければなりません。
国民の健康と安全に関わることですから。
厚生年金保険料を免除 被災の事業者らを対象に検討
厚生労働省は東日本大震災で被災した事業者と雇用者について、厚生年金保険料を免除する検討に入りました。免除には法改正による特例を設ける必要があります。
自営業者やパート労働者等が加入する国民年金はすでに被災者の保険料を免除しています。
特例の対象は、岩手、宮城、福島県などで災害救助法が適用された地域を想定しています。
年金保険料の免除期間は保険料を支払ったとみなされます。
健康保険については被災した事業所の場合、災害の混乱が終息してから納付を求められます。
すでに預金口座からの引き落としは中止されています。