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   バイデン米大統領 「一般教書演説」

 バイデン米大統領は、連邦議会の上下両院合同会議で内政・外交の方針を示す一般教書演説を行い、「誰一人として取り残さない経済をつくる」と強調。 大企業や富裕層に公平な税負担を求め中間所得層の底上げをする政策への協力を呼び掛けた。
 トランプ共和党は、政府債務の法定の上限引き上げの条件として、社会保障の削減を主張しているが、バイデン民主党は「経済を人質に取ろうとしている」と非難し、富裕層への公平な負担を訴えている。

 一方、岸田首相は、「所信表明」で何を表明したか? ・軍事費2倍化、・子育、子供手当の拡充とは言っているが、財源手立ては増税・社会保険料負担の引上げ、年金支給の切り捨て等の表明のみで、低中間所得層の底上げを求める表明は全く皆無であった。
 岸田政権は「貯蓄から投資へ」国民の資産を誘導する政策を「新しい資本主義」主柱と重大政策のごとき声高に訴えているが、個人投資家が儲けるのは簡単ではない。イギリスのIG証券のホームページでは、投資家の77%が損をしていると注意を促している。

   「過去最大の貧富の格差」➡「公正な税制必用」―国際NGO

 国際NGOオックスファムは、新型コロナウィルスの発生以降に生じた世界の富の2/3が富裕層上位1%に集中していると報告書で明らかにした。
過去、最大規模の貧富の格差に警笛を鳴らし、各国政府に公正な税制を即時実現するよう求めている。
 報告書によると、2020年以降に新たに生じた世界の富42兆ドル(約5,360兆円)のうち26兆ドル(約3,320兆円)が富裕層上位1%に集中し、1日あたり27億ドル(3,445億円)の資産を増やしていると試算している。
 この富裕層と、1日1.5ドル(約192円)で暮らしている極貧困層が同時に増加し、同時・同世界で生活している現在の傾向は、過去にない状況下だとしている。

 こうした状況下、「生活保護費」減額、「年金支給額」の減額、高齢者の「医療費負担」の引上げ、子供手当の財源に75歳以上の「社会保険料負担」の引上げ等々、経済弱者への国民負担は増すばかりで、所得の配分(富裕層から低所得者へ・・・所得の再配分)機能はますます低下している。

 岸田首相の「新しい資本主義」経済政策は、税制改正大綱でも『富裕層への優遇』が温存され、新たな減税まで追加された。
 所得の再配分の根幹をなす税制の公平は、不公平再拡大へ、岸田首相の政策目玉の「新しい資本主義」は「格差拡大の新しい資本主義」と言わざるを得ない。

 所得税 「一億円の壁」

 日本の所得税には、所得が1億円を超すと負担率が下がる「1億円の壁」の存在が指摘され、税制の基本原理である累進課税に逆行する不合理と指摘されてきたが、今回の税制改正では、その対象は所得30億円超の超富裕層のみの是正で、増税分は超わずかだ。

 「持続可能で格差の少ない、力強い成長の基盤を作り上げる」との「新しい資本主義」だったが、成長促進だけが先行し、格差是正は後回しとなり。貧富の格差を是正し、民主主義の基盤を再構築するという理念は萎んでしまった。

 
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