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  安倍さんを国葬?? 

 岸田首相は安倍さんを国葬で葬送すると閣議決定した。
 それに対する7月25日現在で公表されている世論調査の結果は、意見が分かれている。

 FNN 国葬決定良かった50.1% よくなかった46.9%
 NHK 国葬実施評価する49% 評価しない38%
 熊本日日新聞 賛成42.9% 反対49.6%
 南日本新聞社 国葬反対72.2% 賛成23.1%

 安倍さんが行った政治が、多くの国民にとって納得のいくものであれば、こうも意見は分かれないと思う。
 なんといっても一般的な国民の暮らし向きは、安倍政権下で上向くどころか徐々に悪くなり、将来展望も見えない状態になっている。にもかかわらず、「アベノミクス」と自画自賛するばかりの姿に大半の国民がウサン臭さを嗅ぎ取っていたからに他ならない。
 アベノミクスの失敗は明らかなのに、岸田政権はそれを引き継ぐ姿勢を示し、国葬まで手当てした。ここは冷静に安倍さんの経済政策がもたらしたことを振り返り、国葬の是非を判断する材料のしたいものだ。

  アベノミクスはうまくいったのか

 7月21日、たまたま二人の教授が安倍政権の経済政策に対する評価を発表した。要約して紹介したい。

 ひとりは、東京工科大学名誉教授 工藤昌宏氏である。
 工藤名誉教授はアベノミクス失敗の7つの原因をあげている(若干筆者の補足を付加している)。

日本経済の停滞はお金が流れていないせいだという、非常に単純な思考に凝り固まったこと。(その原因が国民生活の劣化による需要不足であるという根本原因にいたならなかった。そして、以下の単純な思考に基づく誤った経済政策が延々と繰り返されることになる)

お金が流れていないのだから、お金を流せば停滞から抜け出せるとの短絡的な思考に陥ったこと。

お金を流し込めば、物価が吊り上がりそれをばねとして経済は回復するという誤ったシナリオを描いたこと。

金融政策を駆使し、(要は日銀が大量にお金を刷って)お金を世の中に流し込めば、経済は回復するという思いこみに固執したこと。

(増税はお金の流れを止めることになるので)お金の流し込みと矛盾するする政策なのに、2度にわたって消費税を増税したこと。(見た目は物価が上がるが、経済停滞に追い込むことになる)

株価や円相場の操作に固執し、好況感を演出するだけで、実態経済の停滞を覆い隠し続けて有効な政策を実施しなかったこと。

統計偽装に象徴されるように国民を欺き、問題を先送りにし、問題を先送りにしたこと。 

 もうひとりは、慶応大学教授 小林慶一郎氏である。
 日本が30年にわたり低成長となっているのは、4つの要因があるとし、その対案を提示する。

少子高齢化による人口減。老後資金のために貯金が増え、お金を置きたがることになる。
 ➡少子化を食い止める政策が必要

非正規雇用の増加による所得格差の拡大。生産性が向上せず、格差の広がりは経済成長率を押し下げる。
 ➡「分配」を最初に打ち出した岸田構想の処方箋は正しい(現状は腰砕け)
 ➡個人所得課税の重視、金融資産課税の強化

財政破綻の不安が消費や投資を鈍らせる。国の借金がGDPの90%を超えると経済成長率は1%下がるという研究もある(日本は国の借金がGDPの180%を超えているので成長率を2%押し下げているといえる)。
 ➡財政の見直し不可欠

低金利が長く続くと成長率が落ちるという研究発表あり。
 ➡金融政策の正常化
 ➡中小企業の債務減免措置

 こうした指摘を見ると、いちいち頷ける。安倍さんのアベノミクスという誤った経済政策がいかに日本をだめにしてきたのか、そして、岸田政権がどのような経済・財政政策をとるべきなのか、明らかであろう。
 その安部さんを国葬で祀るという。あなたはどう考える?