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   狙いは 高齢者 ・ <役所、金融機関、警察官を詐称>

 埼玉県内では昨年まで5年連続で「特殊詐欺」が1,000件を上回っている。
 目立つのは、“還付金詐欺”で、昨年は前年と比べて約2倍に急増した。

 なぜ“還付金詐欺”“特殊詐欺”が後を絶たないのか? ・・・ 日本人の社会や人間性(特質)にも起因しているのでは! との指摘もある。 (家族を重視し、息子想いの日本人、役人<お上>や銀行員、男性、上司<社会的地位にある人は、悪いことはしないと信じる風土>

  昼過ぎ、埼玉県内の男性(73)宅に電話が鳴った。 受話器を取ると ・市役所職員を名乗る男の担当者が 「高額医療費交付金が出ています。22,338円が戻ります」と言った。
  男は丁寧な口調で 「祝日返上で対応しております。近くの金融機関で手続きができます」と説明した。
  ほどなくして、金融機関の職員を名乗る別の男から電話がかかってきた。
  この男が手続きの場所として指定してきたのは、近くの金融機関の支店。 男性は、ATMを使うことはなかったが、職員を名乗る男に携帯電話でかけ直し、指示通りに操作した。
  男性は帰宅後、妻にATMから出てきた明細を見せた。 妻は「お金を振り込んでいるよ」と心配した。 後日、金融機関の窓口で事情を説明すると、『詐欺だ』と言われた。
  10万円をだまし取られた。

 還付金詐欺は、主に高齢者に電話をかけて医療費や税金などの還付金があると信じ込ませ、手続と偽ってATMで振り込ませる手口が一般的である。
 自宅まで現金やキャッシュカードを取りに行く「受け子」役を必要としないため、犯人の手掛かりがつかめにくい。 組織的な犯罪でなく、個人が詐欺に関わっていることも多い。

    還付金は ATM では戻らない ❣ 

 還付金詐欺が起きやすい時期は、年金受給日、税金の還付申告(確定申告)の後日と言われる。
 還付金詐欺はみんなで未然に防ぎたい。

   節税保険 金融庁立ち入り ・・・ 節税効果を強調 問題視

 「節税効果がある」として中小企業の経営者らに人気の「節税保険」をめぐり、金融庁はエヌエヌ生命保険、SOMPOひまわり生命保険、FWD生命保険の3社に販売実態の説明を求める報告書徴求命令を出した。
 また、外資系のマニュライフ生命保険に対する立ち入り検査を実施した。
 節税効果を強調する不適切な営業をしている疑いがあるとしての実態把握だ。

 ■ 節税保険をめぐる動き

 ・ 2010年代  生命保険各社が「節税保険」を相次いで市場に投入
 ・ 2018年代  節税保険の市場のピークは8千億円規模に
 ・ 2019/2月  国税庁が課税ルールを変える方針を示し、日本生命など複数社が「節税保険」を販売停止
 ・ 2019/6月  国税庁が課税ルールを変更
         「名義変更プラン」についても「適正化に努める」と明示
 ・ 2021/6月  国税庁が「名義変更プラン」の規制を強化
 ・ 2021年後半 複数社で節税を指南する販売資料が見つかる
 ・ 2022/2月  金融庁のマニュライフ生命に立ち入り検査
         エヌエヌ生命、SOMPOひまわり生命、FWD生命3社に報告徴求命令

 上記生命保険各社は、節税目的で保険を販売していることを否定しているが、金融庁が問題視しているのは、「名義変更プラン」と呼ばれる節税方法。
 当初は企業が経営者の死亡時などに備え生命保険に加入して高額な保険料を支払うが、契約途中で名義を経営者個人に変更して譲渡。
 その後、経営者は保険を解約し、高額な解約返戻金を得るという金融商品だ。
 → 返戻金には通常の所得よりも税金がかからない。経営者への譲渡時にもあまりお金がかからないように工夫されており、「役員賞与などで会社の資産を移すよりもお得だ」などと勧誘している。
 <名義変更割合は、ほかの商品より不自然に高い ・ 上記3社では、社員が独自で作成した“節税指南販売資料も発覚した>
 金融庁は節税目的の保険販売を“保険本来の趣旨を逸脱している”と問題視している。
 また、個人年金保険でも節税効果を強調した販売も疑われている。
 日本郵政グループが、かんぽ生命の個人向け保険の営業を今春から3年ぶりに復活させる方針を固めた。高齢者らに保険を乗り換えさせて不利益を与えるなどの不正問題が発覚した後、営業体制を見直したというが不正の温床である「数字ありきの」風土は改善されているのか警戒の声も出ている。

   販売側にうまみ ⇔ 経営者側にリスクも

 節税保険は近年ブームになっているが、節税の利点を強調することで中小企業の経営者らに売り込みやすく、販売する代理店にとっても、販売額の数十%にも上る高額な「手数料」が「うまみ」のある商品だ。
 一方、保険会社の説明通りの「節税効果」を得られるのは極めて限定される。不必要な保険料負担を抱えてしまう可能性もある。 ・・・ 甘い言葉に乗せられて契約すれば、逆に経営リスクを高めてしまいかねない。