30年間・増えぬ賃金 アベノミクス 「滴り」 は落ちず
この30年間、日本の賃金は変わっていない。 海外と比べるとギョッとする。
日本の賃金は、先進国でも平均以下となり、差が大きかった韓国にも追い越された。
どの国も賃金が上がっているのに、日本の状況は異常ともいえる。
アベノミクスのトリクルダウン ― 大企業が儲かれば、その恩恵が滴り落ちる ― 結果は、国民には滴り落ちず、完全な失敗に終わった。
この間の貧困問題をめぐる動き
2008年 ・リーマン・ショック
・年末年始、年越し派遣村
2012年 ・生活保護給付水準1割カット公約 自民党選挙大勝、政権復帰
2013年 ・安倍政権、生活保護基準額3年 で6.5%減額決定(戦後最大減額)
・生活保護法改悪と生活困窮者自立支援法成立
2013年 ・「下流老人」(一億総老後崩壊の衝撃)がベストセラー
2016年 ・「1億総活躍プラン」が閣議決定
2020年 ・コロナ禍、生活保護申請が増加
・菅首相「目指す社会=「自助・共助・公助」発言
経済協力開発機構(OECD)の2020年の調査(物価水準を考慮した「購買力平価」ベース)によると、日本の平均賃金(1ドル=110円換算)は424万円(非正規社員176万円)。・・・35ヵ国中22位で、1位のアメリカ763万円と339万円の差がある。 30年前、1990年と比べると日本は18万円しか増えていない。 アメリカは247万円増。 韓国は1.9倍に急上昇、日本と38万円の差をつけている。・・・(韓国の大統領選で与党候補が「経済で日本に追いつき、追い越せを」をスローガンに掲げている。)
この間、社会保険料や税金等国民負担は増加し、賃金手取り額は減少の一途だ。
大和総研の調査では、2人以上の勤労世帯では手取り額は、23年前(1997年)をピークに減少し続けている。
『公助』を投げ捨て、『自助』を掲げる政権下での経済政策では、少子高齢化の中、医療や看護分野での社会保険料負担はさらに増す可能性があり、経済力・購買力はさらに低下すると見通している。
日本社会はその世代だけではなく、アンダークラス(非正規社員・アルバイト・パート主婦・・・等)と言われる社会的経済的格差は、次の世代へと世襲させられてきている。
一度アンダークラスとなると、親から子へ、子から孫へと学歴も含め引き繋がされていく社会となってきている。
政治を変え、社会を変え、未来を展望できる政策が緊急に急がれる。
賃金格差 さらに広がる恐れ
「賃上げを行う企業への税制支援を抜本強化する」と岸田首相は所信表明演説で述べ、賃上げをした企業への法人税を減税する政策のようだ。
法人税減税で多くの労働者が賃上げの恩恵に預かれるのか?
そもそも法人税は企業利益にかかる税金である。赤字の企業(欠損法人)は税負担ができず、減税の対象にすらならない。
国税庁の会社標本調査によれば、2019年度に法人税を納めた企業(利益計上法人)は38.4%(内.資本金1,000~5,000万円=50.5%、~1億円=53.7%、~5億円=70.5%、~10億円=75.8%、~100億円=76.3%、100億円~=79.1億円と大企業に利益法人が集中している)と4割に届かない。
6割以上の企業(中小企業)は賃上げしても法人税減税の恩恵に預かることができない賃上げ減税政策となってしまう。
そもそも経営状態がよくなかった上に、コロナ禍も重なり、賃金を上げることができない中小・零細企業に、賃上げをすれば法人税を減税するといっても賃上げをする原資もなく、何の恩恵もない。それどころか賃金格差がますます広がり、労働者間の分断を招くことになる。 正規、非正規社員間の賃金格差も分断が拡大する。
大企業に就職できた子と、中小企業に就職した子とスタートから格差が生まれる。
主要国のGDPと賃金の推移(クリックで拡大) |
基準額引き下げありきの 生活保護の級地見直し
新型コロナ危機が生活保護制度の役割に改めて光が当たっている。ところが自公政権は生活保護制度の柱である生活扶助基準額の引き下げを検討している。
物価水準などに応じて地域ごとの基準額に差をつける「級地制度」を、基準引き下げありきで見直そうとしている。
今回の級地見直しは、自民党行政改革推進本部の2019年の提言が出発点だが、合理的理由がないままでの“引き下げありき”の『生活保護バッシング』である。
安倍内閣誕生後、生活保護基準部会の軽視が強まり、1013年には部会が議論していないデフレを口実に基準を大幅に下げ、現在でも全国で違憲違法訴訟がおきている。
今回も級地見直しに際し、1回だけの議論で終わらせようとしている。
コロナ危機ではないが、専門家を看板としてだけ使えばいいという、科学軽視は日本学術会議の任命拒否問題と同根である。
政党助成金はため込み最高 自民党は252億円
総務省は2020年分の政党助成金の使途等報告書を公表した。
政党助成金の繰越分を積み立てる各党の基金残高総額は、政党助成制度が始まって以降最高の323億4400万円であった。
政党助成金 これは国民の税金である。 ・・・これが選挙の際の買収に使われる?・・・
日本共産党は受領していない。
政党助成金制度は、政党が企業・団体献金を中止する(企業・団体に利益が誘導される)代わりに、税金から助成する(国民に利益が誘導される)との目的で制度化された。
しかし、政党助成金が可決し制度化すると企業・団体献金中止は蚊帳の外に追いやられ、企業・団体献金と政党助成金の二重取りが現在まで続けられている。当初の目的が忘れ去られている。
助成金を一旦貰ってしまえば、各年度使わずに残金が残って永久に返金は要らない。
何とも都合のいい『政党助成金』である。
国民にも『国民助成金』なるものが欲しいで御座る !