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   大企業の「内部留保」 コロナ禍 7兆円増 

 菅首相の政権投げ出しは、コロナ対策での無為無策と権力維持の策動に敗れた結果であるとともに、国民に『自己責任』を押し付ける経済政策の破綻のあらわれである。
 菅首相が主張した『自助』の政治は新自由主義であり、コロナ危機のもとで「格差」と「貧困」が深刻化、経済の「ゆがみ」が拡大している。 

 新型コロナウィルスが猛威を振るう2020年3月から2021年8月までの17ヵ月間、アメリカの大富豪(ビリオネア)の資産総額は1.8兆ドル(日本円で195兆円)増えた。(ATFとIPSが公表)
 ところがこの大富豪たちは、市民社会に求められている“税の公平な負担”に背を向けている。
 このアメリカの経済と税制システムが新自由主義政策によって歪められている。
 大富豪による合法的税逃れ、法人税の底辺までの引き下げ競争などによる医療や教育などへの政府の財政的基盤の崩壊が貧富と格差の拡大、「自助」へと堀り崩している。 

 財務相が発表した法人企業統計によると、資本金10億円以上の大企業(金融業・保険業含む)の内部留保は2020年度に466.8兆円に達し、前年度から7.1兆円増加し、コロナ禍の中でも過去最高を更新した。
 一方、2020年度の労働者1人当りの賃金は579.2万円で前年度比1.2万円減少した。
 役員報酬は同1.2%増の1,964.8万円。
 配当は同11.3%増の24.7兆円。 

 一方、中小零細企業は賃金を下げるだけでは雇用すら維持できない。 役員報酬すら支払えない企業すら散見できる状態である。
 法務局で登記簿の閲覧や証明書交付などを行う窓口業務。民間委託されて15年 <今や税務署などの国家機関や地方自治体などすべての公共機関に蔓延している> 97%が非正規職員・最低賃金状態、気に入らなければ雇い止めを連発する状態が蔓延している。 

 コロナ禍、経済は資金豊富な大企業のみが富・権力に依拠している公共機関の行政は『公助』を放棄、中小零細企業、貧困労働者・国民は『自助』しかない状況である。 

 ・・・ 「今まで、何のために、税金を支払って来たのか?」  ため息まじりの声がでる ・・・ 

 IPSのコリンス氏は「何十万人もの人々が命と生活を失ったときに、大富豪たちは、この見苦しい棚ぼた利益を手に入れた」と痛烈に批判。
 富裕層や大企業に有利となっている税制をつくり直す必要性を強調している。 

   コロナ禍 医療受診控えが拡大 

 厚生労働省は、病気やケガの治療で2020年度に医療機関に支払われた概算の医療費(速報値)について、前年度比3.2%減(1兆4千億円)であったと発表してた。
 医療費が減少するのは、2016年高額薬価を値下げした以来で、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う受診控えが影響している。
 医療費の内訳は、「入院」が3.4%減、「入院外(外来受診・往診)」が4.4%減、「歯科」が0.8%減、「調剤」が2.7%減であった。
 診療所での外来・往診などを診療科別にみると、減少幅が最も大きかったのは「小児科」22.2%減、「耳鼻咽喉科」19.7%減とつづいた。
 受信控が健康悪化につながっている実態が各種調査で明らかになっている。感染防止対策の支援強化や「公助」に基づく命の救済が緊急に求められている。 

 安倍政権時、消費税が2度引き上げられ5%➤8%➤10%となり、税負担が「企業」から「国民」へと大きく舵が切られた。 菅政権時、「自助」「共助」「公助」と自己責任を求められる新自由主義が強化された。 

 「税」の主権者が「国家」の主権者であることを忘れられている。 

   税負担の変化 「企業」から「国民」へ 

 日本の税収項目のトップは消費税である。3%➤5%➤10%と引き上げられ、財務省は将来19%以上を視野に入れている。
 史上例を見ない金融大緩和の下、株高の恩恵を受けている富裕層と同率の税が、毎日の生活に事欠く人から当然に取り立てられている。 

 消費税の増税は、税負担が「企業」から「国民」に切り替えられたことを意味する。 

 1989年度の消費税収は3.3兆円。2020年度には21兆円(6.36倍)にまで膨らみ、法人税収入の2倍近くにまで達した。 

 消費税増税のたびに言われた“社会保障のため” <今や、社会保障は「自助」で> という口実は全くの“ウソ”だったことはコロナ禍での医療の惨状を見れば明らかだ。 

 世界ではすでに始まっている。 いまこそ国民の「いのちと健康を守る」税制つくりを・・・と 

   それでも 軍事費5兆4797億円 過去最大 

 防衛省は2022年度予算の概算要求を計上した。過去最大だった前年度予算を1,374億円上回っている。 10年連続で前年度を上回り8年連続で過去最大を更新にている。
 新型コロナウィルス感染拡大で「国民のくらしと命を守る」「軍事費削って医療に回せ」の声が高まる中、アメリカ制武器の爆買いに歯止めがかからない。 

 自民党総裁選、敵基地先制攻撃と各候補が主張していたが、専制軍事攻撃で平和は訪れないことはイラク・アフガニスタン攻撃で歴史が証明している。
 税金は平和のために使われてはじめて平和が訪れる。