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  経済的格差 と 富裕層 対 貧困層

 経済的格差とは、国同士、または個人同士の貧富の格差を表す語である。 個人間の場合は、所得格差とも呼ばれる。
 経済的不平等、または貧富の差とは、広義においては経済的活動の過程において発生する富める者と、そうでない者との差のことである。
 それは、経済的活動の過程で発生するものであり、個人の努力では埋めることのできない、社会制度・政治制度、さらには時の経済的状況によってより拡大する。

 新型コロナウィルスの感染が世界中に拡大しているなか、WHO(世界保健機構)はついに「感染爆発」と認めて、パンデミックス・フェーズに入ったと宣言した。 世界中の株価が暴落し、円安・ドル高は加速、東京オリンピックの開催見通しも暗雲が立ち込めてきた。

 新型コロナウィルスは世界経済に重くのしかかってくる。各国で渡航制限やイベントの中止・延期が相次ぎ、金融市場の波乱も続く、WHOがパンデミックスと表明したことで出口の見えない厳しい対策をとる国が増えてきた。国際通貨基金(IMF)は世界経済の成長が2019年の2.9%を大きく下回り、金融危機以上の低成長になる可能性を示している。

 日本の日経平均株価も1万7000円を割り込み、貿易と投資の減少、生産性の低下、消費や旅行需要の減退、サプライチェーンの混乱、労働者の病欠や自宅待機、解雇による労働損失など、経済に深刻な影響が出はじめている。
 日本の2019年10~12月期の実質GDPは、前期比1.6%のマイナス、前期比年率換算で6.3%のマイナス成長である。個人消費が前期比2.9%のマイナス、住宅投資が同2.7%のマイナスと、10月に導入された消費税増税の影響が大きく出てきたところでのコロナショックである。

 株価は将来の期待利益を反映している。経済活動が減速し、利益が縮小すると見るや売りにでる。富める者の自己防衛だ。富めない者は何ら対応できず、より貧富の格差が拡大する。
 貧富の格差は、経済が好調の時も、経済が不調の時もより拡大する。

  ジニ係数 にみる 貧富の格差 ・・・ 経済的不平等

 ジニ指数にみる所得格差。 ・・・ 指数は0-1であり、0は完全な平等(全員が同一所得)、1は完全な不平等(1人がすべての所得を得て、その他は全員0所得)
 多くは社会体制、経済システムなど競争自体の不公平や経済ルールの不公正、若しくは不公平を促進する国際政治システムから起こる。

 世界第3位の経済大国である日本。 その日本には高い貧困率という問題が存在する。
 7人に1人が貧困にあえぎ、1人親世帯では半数以上が貧困に苦しんでいる。
 貧困率のデータは3年ごとに調査される。2015年に発表された貧困率は15.6%。1人親世帯では50.8%と、先進国の中では最悪のレベルだ。

 日本の1人当たりの可処分所得は245万円(中央値=平均値、2015年現在)、この平均値の半分以下の所得しかない世帯を貧困層と呼ぶ。日本ではこの可処分所得が20年間で52万円も下落した。日本の貧困率の状況は厳しさを増している。

 2018年調査が注目されるが、改善される見通しはない。実質賃金は上昇しておらず、非正規労働者(正規労働者とは賃金に大きな差がある。非正規労働者は公務の職場に拡大されている)は拡大している。
 「働き方改革」「同一労働同一賃金」と叫ばれているが、公務労働、大企業の職場には届かない。

 日本の貧困率はバブル崩壊以来一貫して悪化を続けている。貧困率算定のベースとなっている『可処分所得』の推移は20年間ひたすら下がる続けている。

 経済成長と格差の関係では、市場原理の下で経済成長すると勝者と敗者に分断され格差は拡大する。一方、経済成長が停滞すると再分配機能が生まれず、格差が固定する。
 貧困に陥ると、永遠に這い上がれない経済システムだある。

   ジニ係数          状態
   0.2~0.3         望ましい状態
   0.4~           社会騒乱多発の警戒ライン
   0.5~           深刻な不平等
   0.6~           暴動発生必至
 日本のジニ係数は、平均で0.47…台(深刻な不平等の直前)、高齢者に至っては0.65…台(暴動発生必至)の格差である。

 コロナウィルスの影響は読めないが、飲食店や観光地、ホテル・旅館や旅行業、製造業を中心とした小規模事業者やフリーランス、非正規労働者等、貧困層からより深刻な影響が出はじめている。

 政府はまずは貧困層からより早急に、より厚く所得補償の政策を行うべきだ。

 コロナウィルス感染防止・・・密閉・密集・密接の3密の場所は避けよう!
               手洗い・うがいを励行しよう!