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  99%の国民の犠牲で 富裕層を優遇

 アメリカ同様、日本でも財界・富裕層の要求で導入された新自由主義的な経済政策によって、富裕層と大企業優遇の税制が続いている。 安倍首相によるアベノミクス「トリクルダウン」経済政策である。
 税率でみると、所得税・1975年代初めには75%だった最高税率は現在45%に、法人税は40%台からから23.2%に引き下げられた。 株式譲渡益や配当に対する課税は、所得税と住民税あわせても20%にすぎない。
 所得が1億円を超えると所得税の負担率がガクンと低下する。
 これは、高額所得者ほど所得に占める割合が高い株式譲渡益や配当所得の税金が低すぎるからだ。
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 「トリクルダウン(滴り落ち)」=大企業や富裕層が儲かれば、そのおこぼれが国民に滴り落ちて国民の暮らしも潤う。という経済政策である。
 「トリクルダウン(滴り落ち)」で国民生活は豊かになったのか? アベノミクスも8年目、国民生活は豊かになったどころか、貧困は拡大した。 アベノミクス「トリクルダウン(滴り落ち)」という経済論の完全な破綻である。

 安倍自公政権は金持ち・大企業には大胆な減税をしながら、国民には負担の重い消費税を10%まで増税した。 さらに、社会保障の給付減・負担増を毎年繰返し、国民の生活を貧しくし、貧困と格差を広げている。

 確定申告の時期である。消費税率を5%に戻し、大企業への優遇税制の見直しと内部留保のはきだし(非正規社員の正規社員化、賃金の大幅引上げ)、富裕層への所得税最高率引上げと株式譲渡や配当所得への課税強化で不公平税制を是正する必要が緊急課題となっている。

 昨年末、世界経済フォーラムが「ジェンダーギャップ指数」を発表した。 男女格差が先進国で最悪の日本は、前年の110位からさらに悪化し、世界153ヵ国中121位となった。

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 金持ち(富裕層)減税と大衆(国民)消費税増税の平成であった。

● 法人税(基本)率の推移 、●
 昭和59年 43.3%
 昭和62年 42.0%
 平成 元年 40.0%
 平成 2年 37.5%
 平成10年 34.5%
 平成11年 30.0%
 平成24年 24.5%
 平成27年 23.9%
 平成28年 23.4%
 平成30年 23.2%

 税制は、その基本である『応能負担』(税のあつめ方)と『所得再配分』(税のつかい方)を真剣に考える時期となった。 税制を国民の手に取り戻そう! が重要である。

  不平等税制と税逃れが 税制破綻招く

 ・ ジェンダー不平等・
 国際援助団体オックスファムが1月20日発表した報告書は、世界で経済格差が広がる一因として、「税率引き下げと意図的な税逃れによって超富裕層と巨大企業からの徴税が破綻している」ことを指摘している。
 超富裕層は、本来払うべき税額のうち、3割にあたる税額を逃れていると批判。

 報告書はまた「経済的不平等はジェンダーの不平等によってもつくられている」と強調。 低賃金で不安定な雇用や、家事・育児・介護など賃金不払い、あるいは異常な低賃金の労働が不釣り合いに女性に押し付けられいると指摘。 世界全体では、労働年齢の女性42%が、男性でも6%が介護などの責任を負わされて仕事につけていないという。

 報告書は「各国政府は1%ではなく99%の国民の利益になる経済をつくらなければならない」と強調しています。
▼富裕層・高額所得者・大企業への課税の強化、税逃れ対策
▼低賃金や無権利が横行している介護などの労働者保護
▼性別に基づく仕事の分担という思い込みを広報や法律を通じて克服
▼有給休暇の取得促進
などを求めている。

 同最高経営責任者、カミダブ・ベハール氏は、「破綻した経済は一般国民を犠牲にすることで億万長者や大企業の財布をいっぱいにしている」と告発している。
 また、各国政府が富裕層や大企業向けに減税する一方、公共サービスの切り捨てを進めているとし、『不平等の危機を作り出しているのは政府だ』と批判。 『各国政府は今こそそれを終わらせるために行動しなければならない』と語っている。

 確定申告の時期である。 いま “税と政治” を考えてみる時ではないかと思う。