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   景気指数 5.6 ポイント低下  増税の落ち込み鮮明

 内閣府が12月6日発表した10月の景気動向指数(2015年・100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比5.6ポイント低下の94.8であった。(2015年〈安倍内閣発足〉からもマイナス景気)
 10月の消費税率10%に加え、台風19号の影響もあり、小売りや出荷などがいずれも落ち込んだ。
 同指数の下落幅は東日本大震災があった6.3ポイント以来の大きさ。前回消費税率増税(5%→8%)時の4.8%を大きく上回った。 増税と借金頼みのアベノミクスの失敗である。
 基調判断は、3ヵ月連続の景気後退「悪化」となった。
 指数の算出に使った7指標はすべて悪化。 自動車を中心に小売りが低迷した。
 数ヶ月後の景気の動向を示す先行指数も前月比0.1ポイント低下の91.8となった。

   家計支出 5.1%減  アベノミクス〈トリクルダウン〉効果なし

 総務省が12月6日発表した10月の家計調査は、1世帯(2人以上)当たりの消費支出は279,671円と、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比5.1%減。11ヶ月ぶりにマイナスに転じた。
 下げ幅は2016年3月の5.3%以来の大きさ。 前回消費税増税直後の4.6%減を上回った。
 サラリーマン世帯の実収入は、実質0.5%減と、3ヵ月連続の減少となった。

 消費の落ち込みは生活に身近な分野でみられる。 日本フードサービス協会に加盟する外食187社の10月の売上高は、前年同月比2.4%減であった。 いま、外食・小売業の中には、閉店・廃業に追い込まれる状況が生まれている。
 小売りだけでなく、生産分野など幅広い分野の指数も大きく悪化。 リーマンショック後の6.2ポイント減に次ぐ大きさだ。

 第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは「消費税増税の反動減と台風の影響だけでは説明がつかないほど、消費も生産も悪い」と指摘する。 回復に時間がかかれば景気後退は避けられない。

   落ち込む暮らし  ☛  国民生活は限界

 政府は消費税を導入する際や、増税を強行する際に「社会保障の充実」・「社会保障の拡充」に加え、教育の無償化や子育て支援を口実にする。 しかし ?
 増税直後から社会保障削減計画が次々と具体化される。

 暮らしを支える公的年金を削減するマクロ経済スライドは来年度も発動される。
 2020年度予算案は社会保障費や子育てに関わる削減が多数盛り込まれている。
 医療の分野でも、外来受診時の定額負担を導入するよう求めている。
 後期高齢者医療制度でも現在1割である75歳以上の医療費窓口負担について2割に引き上げることを提案している。
 介護の分野では、要介護の1、2の人を保険から外すことを盛り込んでいる。
 現在、全額保険給付となっているケアマネジメントに自己負担を導入するよう求めている。
 子育て分野では、「公費の『使い道』の精査をしていくことは不可欠」として、保育公定価格の削減を促している。

 いま、「税の集め方」 「税の使い方」が崩壊している。

   消費税率  ☛  20%時代へ

 財政制度等審議会は、「消費税率10%は、長い道のりの一里塚に過ぎない」と、さらなる消費税増税を当然視している。
 経団連は、社会保障の削減と消費税率の引き上げを繰り返し求めている。
 経済同友会の代表幹事は、「2024年には消費税率14%になっているのが望ましい」と述べ、さらに17%まで引き上げることを提言している。
 国際通貨基金(IMF)の専務理事は、日本は消費税率を引き上げていくことは<財政健全化・・・借金漬けの日本の財政には>有用だ」と指摘している。 ・・・ 日本の財政を借金漬けにしたのは国民ではない。 時の政権だ。 なんで時の政権の尻拭いを国民が負わなければならないのか ?

 これまで、消費税は社会保障に使われず、財政健全化の役にも立ってこなかったことは明らかだ。
 国と地方の長期債務残高(借金)は、消費税が導入される前の1988年度から2019年度までの30年余で4倍以上に膨張している。
 消費税が社会保障と財政健全化には全く貢献しておらず、逆に悪化しているのは政治の責任だ。

 さらなる消費税増税を強行すれば、国民生活、日本経済は完全に崩壊してしまう。

 今こそ立ち止まって、社会保障、国民生活のための税制とは ? 社会保障とは ? 国民全体で考える時期に来ている。

 補正予算、赤字国債発行2.2兆円は論外である。