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 チューリップ バブル ?

 16世紀、オランダの裕福な商人が有り金をはたいてチューリップの球根を買い占めたバブル現象をチューリップ バブルと称する。
 今、このチューリップ バブルを彷彿させるバブルが中国で起きている。
 ニンニクの買占めによるニンニク バブルの現象である。

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 ただでさえ不動産バブルの懸念に苦しめられている中国が、もっとも身近な食材(ニンニク)の価格高騰に苦しめられている。
 中国は世界最大のニンニク生産国だが、北京などの大都市では、ニンニクの卸値がこの8ヶ月余りで15倍にも跳ね上がっている。
 中国最大のニンニク輸出国である日本でもこの影響は深刻である。横浜中華街の飲食店ではニンニクの使用量を減らして調理、焼肉チェーン店ではおろしニンニクを要求したお客様のみ少量提供するなど四苦八苦している。
 中国に詳しい情報筋は、国内にだぶついている流動性資金を手にした投機筋が、比較的規模の小さなニンニク市場に流れ込み(100万円、200万円単位なので、ちょっと不動産や株の取引で儲けた人たちが現金や融資で)相場を操作しているという。
 「倉庫1つと大量の現金、それにトラック1台あればいい。それで投機ができる。」
投機筋が使う手法は大量の資金を元にいつの時代も同じである。「できるだけニンニクを買い占めて供給量を減らし、そこで価格を吊り上げる。買い占めたニンニクを倉庫から別の倉庫に移すだけで、何百万円の利益を上げる」
 私たちが水戸黄門・テレビの世界で目にしている“江戸の町の大火に乗じ、材木を買い占め、相場を吊り上る材木問屋、それを観て見ぬ振りし分け前にありつく悪代官・・・ お主もワルよのう・・・ 」の世界が未だに投機筋で行われている。
 もっともテレビの世界では最後に悪者は退治され、庶民は助かるのだが・・・ 現実の世界では悪が栄え、庶民が苦しむことになる。

 中国・物価抑制に奔走
 背後に、世界から集まる投機マネー

 中国政府が物価の抑制に奔走している。
 不動産や株取引で大儲けし、莫大な現金やだぶついている融資資金を手にした悪者が、次の策略としてニンニク市場を標的にしてきた。次の次として野菜や果物など食品を標的にし始めている。
 所得の低い家庭ほど影響が大きく、社会の不安定要素となる。中国の政治事情からは国民の不満を鎮める必要があるからだ。
 背景には、金融緩和で市場に湯水のごとく資金を供給しているアメリカ、EUなどの先進諸国と経済発展で金持ちとなった途上国の投機筋から集まる投機資金「熱銭(ホットマネー)」が暗躍しているからだ。
 投機マネーは中国にとどまらず、発展途上国(とりわけ東南アジア、インド、ブラジル)に有り余る資金を投入してきている。
 いずれにしても投機マネーに翻弄され、庶民の生活が苦しくなるのはごめんである。

 賃金引上げで景気回復を

 全労連などでつくる国民春闘共闘委員会は、国民春闘討論集会で、大企業が抱え込む244兆円の内部留保について「大企業がいくら溜め込んでも日本経済の成長にはつながらない」「賃上げによる景気回復と雇用の維持の要求実現を」と呼びかけました。
 この1年間で労働者の賃金は5、5%低下しました。
 経済危機を引き起こした責任と原因のひとつは、企業の社会的責任の欠如と政府の無策にあるとも言われています。
 賃金の低下 → 消費の低迷 → 物価の下落 → 企業利益の減少 → 賃金の低下 といった悪循環を断ち切る手立ては、いままでに溜め込んだ大企業の内部留保244兆円の一部でも払いだすことしかありません。
 中小企業は、この内部留保ですら払い出し、いまや瀕死の状態である。
何とか消費を上向きになる方策と決断を大企業と政府に求めたいものである。