団塊世代に重くのしかかる 社会保障削減路線
安倍政権は「骨太の方針2018」で、歳出分野の重点として社会保障を位置づけ、国民負担増と給付の抑制・削減を一層強く打ち出した。
安倍政権はこの3年間、医療や介護の社会保障費の自然増を大幅に抑制してきた。「骨太の方針2018」では、2019~2021年度を基盤強化期間と位置づけ、さらなる自然増の抑制、患者・利用者への負担増や給付の抑制・削減を徹底する方針としている。
経団連も経済財政諮問会議に、団塊世代が75歳を超える2020年までに、社会保障の削減路線をさらに強化するよう提言している。
社会保障費の自然増は、高齢化社会(高齢者の増加)になれば当然のことである。これを抑制するとは何を指しているのか ? 長生きしている高齢者に責任を転嫁している。
高齢化社会(高齢者の増加)になれば、患者・利用者が増えるのは当たり前である。これを患者・利用者の負担増や給付の抑制・削減に転嫁するのは政治の劣化である。
では、経団連・大企業の社会的責任はないのか ? 経団連・大企業も社会の中で成長したはず。その社会的責任をいまこそ果たすべきではないのか。
トヨタ自動車20.89兆円、三菱UFJFG11.75兆円、日本郵政11.07兆円、NTT10.87兆円と軒並み内部留保は最高額を記録し、内部留保の対前年増加率は8.0%だ。 国民・利用者にのみに責任を転嫁するのではなく、社会の中で成長してきた企業にも応分の負担を求めるべきである。
負担増・抑制・削減の中身
<医療>
現行は原則1割である75歳以上の窓口負担。 「見直し」を明記。 財務省の財政制度等審議会の建議は「2割負担」が提起されており、負担引き上げの方向は明瞭だ。
かかりつけ医以外の外来で受診した患者から追加負担を徴収する「受診時定額負担」の導入や、薬剤費の自己負担の引き上げなども明記されている。
<介護>
要介護1、2、の人の地域支援事業への移行による介護保険サービスの利用抑制
介護保険を利用するためのケアマネージャーによるケアプランの有料化
老人保健施設や介護療養病床の多床室の室料を無料から有料化
<その他>
医療や介護の自己負担3割の現役並み所得者の判断基準(収入要件等)を見直して対象を拡大
マイナンバーを活用して高齢者の預貯金などの資産を把握し、医療や介護の負担増へ反映させる仕組みの導入
などが検討されています。
介護保険料は何のために支払ってきたのか ? お粗末な政治である
「骨太の方針2018」は、こうした自己負担増と保健外しによる給付抑制とともに、2025年度までに本来必要とされる病床数から33万床を削減、公立病院・医療機関の再編・統合を提起。
また、深刻な医師不足にもかかわらず、医学部定員について2022年度以降削減
・・・加計学園の獣医学部は増設 / 安倍首相のお友達だから・・・
低所得者や高齢者が多く加入する国民健康保険では、国保財政の健全化と称し市町村の「法定外繰入」を解消させる施策の強化を打ち出している。
プライマリーバランス(基礎的財政収支)・財政健全化はよいが、そのツケをすべて国民・弱者にむけてくる日本の政治はどこかくるっている。
毎年多額の国債発行<借金>を重ね、国際的にも歴史的にも最悪の水準(太平洋戦争末期と同水準)にある日本。 そのツケは1,000兆円を優に超える。 誰の責任か? 財界と財界におもねる政治家の責任である。
“税”の集め方 “税”の使い方
社会保障の財源は、税のあり方(税の集め方)・予算のあり方(税の使い方)を変えれば確保できる。 消費税に頼らなくても確保できる。
富裕層に欧米並みの負担を求める。 大企業への優遇税制の見直しなどの税制を改革する。
予算のあり方・歳出の浪費をなくす改革をする。
あわせて、大企業の内部留保を賃上げなどに活用し、国民の所得を増やし、経済を改革し、税収を増やす。
日本税財政改革をすることである。
物価動向 下振れリスク大きい
日銀は金融政策決定会合の議事要旨を公表した。
同会合では、経済・物価情勢の展望(展望リポート)で「2019年度ごろ」としてきた2%の物価上昇目標の実現時期に関する記述を削除した。 時期を先延ばし、先延ばしした揚げ句の削除である。
先行きの物価動向については「下振れリスクの方が大きい」との認識だろうが、安倍内閣と一体となって行ってきた日銀の政策―アベノミクス―の失敗である。