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  7四半期連続増  大企業だけに恩恵

 内閣府が先月発表した2017年7~9月期の国内総生産(GDP、季節調整済)速報値は、物価変動を除いた実質で前期比0.3%増、年率換算で1.4%増。 7四半期連続でプラス成長であった。
 GDPがプラス成長になった最大の要因は輸出だ。 アメリカ向けの自動車やアジア向けのスマートフォン用電子部品が堅調であった。
 大企業の内部留保は4~6月期に405兆6千億円と史上最高を記録した。

 一方、GDPの6割を占める個人消費は前月比0.5%減、 7四半期ぶりのマイナスだ。 賃金が伸び悩んでいるため個人消費の落込みが長期化している。
 大企業は正社員の賃金を抑制し、低賃金の非正規雇用労働者を増やしている。
 医療費・社会保険料負担の増加や年金給付額の減少なども個人消費を低迷させている。

  GNI(国民総所得) と GDP(国内総生産)

 国民経済<国民総所得=GNI>と大企業の生産活動<国内総生産=GDP>の乖離が拡大している。
 国民総所得=GNIは「居住者が国内外から1年間に得た所得の合計」を示す指標。 GDPは「その国の経済規模」を示す指標だ。
 このGNIとGDPの格差はアベノミクスが始まった2014年10~12月期の13兆円から、2017年7~9月期の3年足らずで25.8兆円と倍近く広がった。

 大企業は潤い。 国民は疲弊している。

 厚労省が発表した生活保護受給世帯数からもうかがえる。
 8月に生活保護を受給した世帯は前月より1151世帯多い146万2238世帯となり、4ヶ月連続で増加した。 いままで日本の経済成長を支えてきた高齢者世帯の受給増が要因だ。

  消費税 10% は中止を・・・1世帯当たり家計費月2万円減

 2019年10月から消費税は10%に増税される。
 与党側は「特別な事情が生じない限りは予定通りあげる」(自民・萩生田氏)、「予定通りあげさせていただきたい」(公明・斉藤氏)。一方、野党でも「われわれは凍結だが、将来上げてもいいということ」(維新・片山氏)と主張している。

 消費税8%増税以降、家計消費が1世帯当たり月2万円減となっているのが現状だ。
 消費税8%に増税してからの家計消費の落ち込みは国民にとって「重大な事態」「特別な事態」だ。10%になったら、さらに5兆円の増税になる。・・・国民生活にとっては中止以外の選択肢はない。

 総務省が発表した9月の家計消費支出は、1世帯(2人以上)当たり26万8802円と、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比0.3%の減少だ。
 消費税率を8%に増税した2014年4月以降の42ヶ月中38ヶ月で前年割れだ。

 この間、大企業に行った法人税減税は4兆円。 年収1兆円を超えると証券優遇税制の税負担率の減少という不公平税制で1兆円。 併せて5兆円の財源は、これを改めれば捻出できる。 大企業・富裕層のへの優遇が、庶民への負担増となる消費税増税は直ちに中止すべきである。

 消費税増税は借金の返済と軍事費の増大に使われ、そのツケが庶民にシワ寄せされる。
 税の「集め方」・「使い方」を改めて考え直す時代に来た。

  社会保障・教育支える  『税の集め方』『税の使い方』を

 消費税に頼らず、社会保障・教育費を支える道こそ、多くの国民の願いだ。
 消費税をなくす全国の会が取り組んだ「生活実態調査」には、“消費税増税ではなく、税金の取り方を変えたり、使い方を変えるべきだ。軍事費に使うのは絶対反対” “法人税を下げて、消費税を上げるな”などと、「税の集め方」「税の使い方」に注目した声が多く寄せられている。

 深刻な消費不況のもとで10%への増税を強行すれば、日本経済も国民の暮らしもどん底に突き落とされる。 今こそ、社会保障・教育の財源は、消費税に頼らず確保することが重要だ。
 富裕層や大企業への税優遇をあらため、「能力に応じた税負担」(応能負担)の原則に戻った税制改革と税の浪費をなくす歳出改革が緊急に求められている。

  税の無駄遣いに874億円   会計検査院

 税の無駄遣いはこの9年間1000億円を超えつづけていた。
 先月発表した会計検査院の決算報告書でも2016年の税金の無駄遣いは874億円と指摘した。

 沖縄県名護市辺野古のアメリカ軍新基地建設に抗議する市民らを監視・弾圧するための過剰警備が問題になっていたが、埋め立て予定地のアメリカ軍キャンプ・シュワブ沿岸での海上警備費が1.9億円も過大であったことも指摘した。 
 基地建設に反対し、船やカヌーで工事に抗議する人たちの警備にあたる日当賃金が6万円である。(民間の通常労務単価は2万円程度)常識では考えられない税金の無駄遣いである。

 安倍首相は、先日の日米首脳会談でもアメリカ大統領から“大量の武器を買え”と要求され、「日本の防衛力を質的・量的に強化していく」と呼応した。
 今回の会計検査院の報告書でも、日本の機体の調達・維持費だけで総額2兆2287億円としている。
 挙句に、トランプ大統領の娘(イバンカ)が設立した団体に57億円も援助する。とトランプ来日前にゴマをするなど日本国民の代表とも思えない税金の無駄遣いだ。

  累進課税強化を提言 ・・・ IMF・格差是正で

 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は10月のIMF・世界銀行年次総会本会議で「過剰なまでの格差の問題に断固たる措置を講じる」ことが必要だと強調した。
 また、格差が過剰になれば「経済成長は阻害され、信頼は損なわれ、政治的な緊張は高まる」と指摘した。
 IMFは「貧困の格差の問題―税制政策にできること」と題するリポートを発表。
 富の再配分をどう設計するかのカギになるとして、 「適切な政策の組み合わせによって包摂的かつ持続可能な経済成長を達成できる」 「効率性と公平性は両立可能」としています。

そのための選択肢として
 ▽ 所得税の累進課税
 ▽ 教育と保健医療への公的支出
などを挙げ、富裕層への応分の負担を提起している。