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  小泉「構造改革」に乗って設立

 中小企業向け融資が専門という新しいタイプの日本振興銀行が、開業から6年で破綻した。
 「業務拡大、収益拡大に走った結果、こんな経営になった。」と日本振興銀行の小畠晴喜社長は9月10日の記者会見で経営破たんに追い込まれた理由を述べた。
 日本の金融行政は1998年、行政指導や通達が幅をきかせる「事前指導型」から、ルール違反に目を光らせる「事後監視型」へと大きく変換した。

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 2001年には一般企業が銀行業にも参入しやすいように規制が緩和された。
 日本振興銀行はそうした小泉政権時代、当時の竹中平蔵金融相のブレーンとして金融庁顧問も勤めた大村剛前会長が、小泉政権の「構造改革」路線に乗って設立された。
 目的は、貸し渋りや貸しはがしで困る中小企業を支援することだった。
大村剛氏は、当時の竹中金融相と緊密な関係を持ち、竹中金融相の進めた規制緩和路線を利用して日本振興銀行を立ち上げたものである。
 日本振興銀行は、中小企業向け金融機関との看板とは裏腹に、高率な定期預金金利で客を釣り、破綻した商工ローン大手SFCG(悪名高き・旧商工ファンド)の債権を買い取り、強引な取立てを行ってきた。
 銀行の破綻は2003年11月の足利銀行以来で、足利銀行の破綻は、地域経済への影響が大きいことから、預金保険法102条を適用して一時国有化、公的資金を投入して預金を全額保護した。
 日本振興銀行の場合は、定期預金だけで、普通預金などの決済性預金を扱っていないことを理由に預金を全額保護しないペイオフを発動した。

  ペイオフ ・・・ 預金 1000万円まで保護

 銀行や信用金庫、信用組合などの金融機関が経営破たんした際、預金保険法に基づき、利息が付く普通預金や定期預金などの払い戻し保証額を元本1000万円とその利息までとする措置。
 1971年に導入されましたが、金融不安が高まった1996年に一時前面凍結され、特例として預金は全額保護された。
 その後、2002年定期預金など一部が解禁され、2005年4月に全面解禁された。

  気をつけよう ・・・ 目玉金融商品の銀行

 それではどのような銀行が安全なのか? 
 金融庁という監督官庁はあるが、監督官庁が監督力を発揮しても破綻するような銀行は様々な手を使い逃れようとする。“経営管理体制の問題”“公表では偽造される自己資本比率”“様々な手をつかって項目を隠す財務内容”“迂回融資の問題”“不良債権の問題”などなど金融専門家でもなかなか見抜けない。
 私たちが一番注意することは、目玉金融商品を売っている銀行は注意しようという事である。日本振興銀行も定期預金金利1%の商品を売りまくっていた。