私たちの所得は上がるのか?
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また同期ではないが、2008年の1世帯あたりの所得は平均547万円とピーク時(1994年)に比べ116万7千円と17、6%も減少している
池田内閣の国民所得倍増計画にはじまり、バブル時は一億国民総中流家庭意識であったことは遠い昔となり、いまは一億国民総生活苦時代へと突入している。
高齢者世帯が急増しているなか、高齢者世帯の平均所得は297万円と平均世帯所得を大きく下回り、孫へのお小遣いにも困まり、孫との交流も控えているという状況である。
547万円の平均所得に満たない世帯は61、5%と3世帯中2世帯近くが平均所得以下であり、中でも生活に困窮している200万円未満の低所得世帯は19、4%と5世帯に1世帯にも達している。
近隣付き合いしている5世帯に1世帯は生活に困窮している世帯ということである。
現在生活を「苦しい」と感じている割合は58、1%と調査開始以降最高を記録している。
* 世帯所得とは、同一世帯家族全員で得た所得の合計額である。夫婦で年金を受領している高齢者世帯は、夫婦の年金額を合わせた所得である。
復調は大企業だけ ・・・ 家計は火の車
日本銀行は「展望リポート」で2011年度には物価は3年ぶりに上昇し、「脱デフレ」に近づくという見通しを示した。しかし、賃金が上昇し、生活が改善する見通しは示していない。
大企業を中心に経常利益は回復し、投資活動が活発になってきたといわれるが、中小企業の業績は依然苦しく、雇用や賃金は相変わらず厳しい状況下にある。
「今後も政策手段で景気の下支えと同時にデフレ克服に取り組む。」と菅直人財務大臣(経済財政特命相兼任)が会見したが、昨年11月「デフレ宣言」してから半年。エコポイント制度やエコカー購入補助金は年末には終わる。政府の景気対策は子ども手当や今年度予算の効果だけで、国民生活改善や雇用や賃金といった世帯家計改善の政策は打ち出せないでいる。
6月から子ども手当の支給が始まるが、半額支給の10年度(満額支給の11年度の公約は破られつつある)で年2兆円(消費税1%引き上げで2兆円)。内閣府のアンケートでも将来に不安を持つ子育て中の親は、そのほとんどが貯蓄に回すと答え、消費刺激効果は見られない。
日本銀行も環境・エネルギーなど「成長分野」に投資する企業に融資する金融機関を支援する新貸出制度を成長戦略の一つとして決定した。しかし、デフレ脱却効果は未知数である。
重要なのは、各世帯が安心して消費できる家計消費経済を大幅に改善することではなかろうか。安心して生活できる雇用・賃金・福祉・子育てこそが今求められている。