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  庶民から8兆円巻き上げ、大企業へは5兆円バラマキ

 安倍政権は国会も開かず、国民代表との国会議論もせず、官邸主導で来年4月から消費税率3%アップ(5%から8%へ)を強行しようとしている。国民には8兆円にのぼる大増税となる。一方、大企業には景気の腰折れ対策と称し、5兆円(3%増税のうち2%相当分)のバラマキ減税、景気対策を行う。
 日本の経済は大企業だけでもっているのではない。多くの中小企業の努力と国民消費で持っているのだ。安倍政権には中小企業も国民の存在も眼中になく、あるのは大企業だけだ。景気の腰折れと言うなら中小企業、国民の景気(生活)の腰折れはどうするのか。
 史上空前の大企業の利益・内部留保は中小企業、国民には回らず、下請単価の上昇、労働者の賃金には未だ反映されていない。非正規労働者は全労働者の36.2%(1,881万人)と調査開始以来最多に達している。働いても・働いても賃金は上がらない状況だ。
   アベノミクス は
  「わらに付いた火」
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 特に若年層(15歳~24歳)は45.4%と半数近くが非正規労働者である。
 完全失業者のうち失業期間が1年以上の長期失業者は104万人である。
 総務省ですら「景気対策の効果などで雇用は生まれたが、非正規雇用に流れているのが現状」と分析している。大企業の多くが景気回復による労働力不足を賃金の低い非正規労働者で補い、高収益を上げているのだ。
 企業の論理により「不本意な非正規労働」を強いられている割合が増えている。成年層(25歳~29歳)の7割近くが「正社員に変わりたい」と希望している。
 ブラック企業の実態(相談内容)は、徹底して非正規労働者を使い捨てる。賃金不払い残業をさせる。長時間・過重労働をさせる。そして莫大な利益を追求している。
 まともに働きたくても働けない。 ― これ以上社会保障が削られ(負担は上げられる)、消費税を上げられたら中小企業、国民の生活はどうなるというのか? と言いたい。

  賃金の減少 個人消費も低迷

 内閣府が発表した4~6月期の国内総生産(GDP)改定値は、家計最終消費支出(個人消費)で0.1ポイント下方修正され、0.7%増にとどまった。この間、大企業は史上空前の利益決算となっている。
 個人消費が低迷するのは、労働者の賃金が伸びていないからだ。正規労働者を雇用せず、低賃金で無権利の非正規労働者を雇用しているからだ。厚生労働省の調査によっても、労働者の年間平均賃金は1997年・446万円から減少し、2012年・377万円と70万円も下落している。基本給でも前年同月比14ヶ月連続の減少である。
 この状況下、消費増税と社会保障負担増はさらなる(可処分)所得減少をもたらし、大幅に個人消費を冷え込ませる。GDPの6割近くを占める個人消費が低迷すれば、国民生活も日本経済も壊滅的な打撃を受ける。
 景気刺激策として大型公共事業(国土強靭化政策)を借金で賄う(将来の孫子にツケを回す・それでなくても国家の借金は1,000兆円を超えた)など国家財政を考えていない愚策である。

  過去の経験値 消費増税は税収減・財政悪化!

 このまま消費増税を強行すれば景気悪化を引き起こし、所得税や法人税など税収全体を減少させる可能性がある。
 消費税を3%から5%に引き上げた1997年、前年に比し1999年の国・地方の全税収は6.2兆円減少した。消費増税は5.3兆円増であったが所得税・法人税などが11.5兆円減収した。
 東京オリンピックが誘致され、2020年までは特需景気があると楽観論もあるが、所詮一時的なものであり、その反動は計り知れない。アテネ・オリンピックの後のギリシャがそうであったように。

  消費税は“全て社会保障に充てる” ・・・ これは約束

 「消費税の増税分は全て社会保障に充てる。」 これは民・自・公の国民に対する約束であった。
 その消費税増税分(3%)のうち2%を法人税率の引き下げ、復興特別法人税の1年前倒し廃止(復興特別所得税は今後25年間継続)や大企業の景気対策にバラマク。
 消費税増税論議のときは“社会保障のため” ・・・ 国民も社会保障のためなら・と消極的賛成も多かった ・・・ だと言い。大企業の業績が良くなれ(大企業が消費増税に耐えられる)ば、さらなる大企業優遇と国民への消費増税と社会保障の大改悪を押し付ける。大企業の欲の深さにどこまでも迎合する。
 消費税の増税分は、全て社会保障に使う。この約束はウソだったのか?

   「選ぶ人はアホ」 「選ばれる人は立派」

 自民党の脇参院幹事長は、「政党が正しく国会議員候補を選べば、選ぶ人がアホでも、選ばれる人は立派だ」と発言した。
 主権者である国民をバカにした、オゴリでしかない。
 政党が正しく国会議員候補を選んでいないから、こんなアホな国会議員が生まれるのだ!
 消費増税の議論のときは「全て社会保障に」。 ・・・ 消費増税を確定するときにはこの約束を反故にする。国民に平気でウソをつく国会議員を立派と言えるか ・・・ 。

   アベノミクスは 「わらに付いた火」

 ドイツ連邦銀行は8月の月報で、日本の経済政策「アベノミクス」による景気押し上げ効果は「わらに付いた火」のように、短期間で消え去るとの分析を示した。
 その理由として、①景気刺激策は将来需要を先取りしている。②刺激策終了が来年4月の消費増税と重なりマイナス効果が増幅する。③日本では労働組合の力が弱く、必要な賃上げができない。などを挙げている。また、政府が金融政策(日銀)への影響を強めていることも負の効果が出る恐れがあると指摘している。