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  政府統計でも貧困層増大

  安倍首相が言う「世界で一番企業が活動しやすい国」とは、国民生活を破壊し、一握りの大企業に奉仕する国づくりである。
 アベノミクスの具体策として「規制緩和」「骨太方針」「成長戦略」と政策は立て続けに示されているが、国民生活は亡国へ突き進む状況が浮かび上がっている。
 原発は再稼働・輸出へ政府が一丸となり、低賃金を強いて・解雇は自由化、社会保障は敵視し・軒並み削減している。
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 「実感 できる 景気回復」とのキャッチフレーズで選挙戦を戦った党もあるが、金融市場は乱高下、中小業者と庶民の暮らしは 「実感 できない 景気回復」である。

   大企業が潤えば ・・・

 アベノミクスは「大企業が潤えば いずれ家計に回る」とし、大企業奉仕の政策を進めているが、大企業が潤っても賃金や雇用に反映されていない。
 「日経」が国内主要企業の社長(100人アンケート)結果はそれを明確に否定している。
 過去最高(66兆円)に達している上場企業手元資金をどの分野に投じるかの質問に、 ⅰ設備投資62.2%、 ⅱM&A(企業の合併・買収)42.6%に対し、「人員増強」6.8%、「賃金・賞与など従業員に還元」4.7%と最低であった。

   「アベノミクス」で格差拡大

 貧困層も拡大している。厚労省の発表した国民生活基礎調査によると、年間所得200万円未満の世帯割合は1992年13.6%から2011年19.6%へと1.46倍に増加した。とりわけ年間所得100万円未満の世帯割合は同4.5%から6.9%と1.5倍以上に増加したまま改善の方向すら見えていない。
 企業が儲かれば自動的に賃金や雇用が増加するということは幻想である。歴史的にも1997年をピークに現金支給総額の減少が続いている、この間、戦後最長の景気拡大期であった2002年から2008年にかけても給与の増加は見られない。この時期、企業の売上高・経常利益とも最高の水準であった。

   「アベノミクス」で政官業の癒着復活
   自公政権で無駄な大型公共事業がゾロゾロ ・・・

 安倍政権の最大の売り物である経済対策「アベノミクス」。自民党は10年間で200兆円規模の公共事業をばらまく「国土強靭化計画」、公明党は「防災・減災」と称して10年間で100兆円の公共事業を掲げている。この財政政策の名の下で復活した大型公共事業で政官業の癒着が復活した。
 2012年度補正予算は自公政権が復活して最初に行った仕事。アベノミクスの財政政策として総額13.1兆円の巨額の予算(将来のツケ・借金)となった。
 業界との様々なパーティーには自公の幹部が並び、「被災地の復旧・復興だけにとどまらず ・・・ 強靭な国土を構築するため必要な幹線道路網整備」をと要請している。
 公共事業をばらまき、業界や企業、団体には政治資金パーティー券を購入してもらい、天下り先を保証してもらう。二人三脚で進む利益誘導型の政治。政治家・官僚・業者が一堂に会し、政官業癒着完全復活を印象付けている。まさに税金の使途を「宝の山」として私物化している。

  世界の汚職実態調査 ― 日本は「政党」に不信

 世界各国の汚職の実態調査をしているNGO「トランスペアレンシー・インターナショナル」は世界の53%の人が過去2年間で汚職がひどくなっていると考えていると発表した。回答者の27%が過去1年間に公的機関に賄賂を渡している。平均してもっとも腐敗しているとみられているトップは政党である。つづいて警察、議会、司法、公務員と並ぶ。
 日本では80%が政党は腐敗していると考えている。
 自国政府の汚職対策は「効果的」との回答は22%にとどまった。

  優越的地位の乱用 ・・・

 優越的地位の乱用とは、取引上、相手より優位な立場にある事業者が、その立場を悪用して取引先に不利益を押し付ける行為を言う。「独占禁止法」は“不公正な取引方法”として禁じている。
 大手流通業界が納入業者に不当な安値で納品させたり、労務や金銭を出させたり。 建設業界が下請者に取引を条件に不当な安価で請負をさせたり、バックマージンを求めたり。 製造業界が不当な単価で受注を強要したり、外注下請化を偽装したり。 銀行が融資する立場を利用して中小業者に投機的な金融商品や保険加入を押し付けるなどが挙げられる。
 租税の分野においても本体価格に消費税込を強要したり、消費税益税があるだろう(簡易課税適用中小業者)と5%の消費税を値切りしたり、支払い拒否する優越的地位利用の業者もいる。
 優越的な地位を利用して税金を食い物にしている政・官・業癒着と同質である。
 独占禁止法を補う法律として「下請代金支払遅延等防止法」はあるが、今後消費税が8%.10%と増税された際、相変わらず優越的地位の乱用が横行するなら、増税消費税分すら下請業者は増額請求できない状況に追い込まれる。
 租税(消費税)は税である。本体価格とは全く異質のものである。経済取引の中で優越的地位を利用して租税を値引く、支払いを拒否することは許されない。
 中小業者が税を二重三重に負担しなければならないことは絶対にあってはならない。