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   任意適用企業の範囲は拡大
 
 金融庁は上場企業に国際会計基準の採用を義務付ける時期について、結論を当面見送る方針だ。
 企業会計審議会(金融庁の諮問機関)が国際会計基準の今後の方向性を巡る議論を本格的にはじめ、7月に報告書をまとめる。
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 金融庁は国際会計基準を国内企業に強制適用する時期を「12年中に判断する」としていたが、強制適用する時期は判断せず、その判断を見送った。ただし、国際会計基準を任意で適用する企業の範囲は拡大する案を盛り込む。この判断で最短2016年とされていた強制適用は先送りとなる可能性が高まった。

 
  「国際会計基準」
 
 国際会計基準とは、ロンドンの国際会計基準審議会(IASB)が世界で統一した会計基準を目指して作成した。2005年欧州連合(EU)が域内上場企業に強制適用。世界で最も普及(100ヵ国以上)する会計基準となっている。
 国際会計基準の特徴は、 ①日本より時価主義を徹底している点だ。損益計算書で「包括利益」と呼ぶ項目の開示を求め、保有する資産や負債を時価で計算し直した指標を重視する。 日本で重視している「経常利益」の項目はない。 ②「原則主義」と呼ばれる考え方を取り入れる。日本基準が定める細かい会計処理のルールがない。売上高や経費の金額が激しく増減する。
 
      日本会計基準と国際会計基準の主な違い

 
日本基準
国際基準
利 益
「経常利益」の項目がある
純利益に保有資産や負債の時価変動を加えた「包括利益」の項目を重視
費 用
のれん代
20年以内で定期償却
定期償却せず、価値が大幅低下した場合に減損処理
開発費
費用に計上
一定要件満たせば、いったんは資産に計上
リストラ費用
大半は特別損失に計上
営業費用に計上

 
  折衷案(日本的)は混乱招く
 
 国際会計基準(IFRS)の導入義務付けの結論が当面見送られる見通しとなり、金融庁は日本基準と国際会計基準の折衷案となる新たな会計基準作りに乗り出す可能性がある。
 日本には国内基準、米国基準、国際会計基準の3つの基準が併存しており、これに折衷案が加わると4つの基準が混在する形となる。日本的な折衷案は日本企業には受け入れられても世界基準としては通用せず、混乱を招く恐れがある。
 
  街角景気 悪化が続く
 
 内閣府が発表した5月の景気ウォッチャー調査によると、南関東(1都3県)の「街角景気」を表す現状判断指数は前月費0.9ポイント低い56.7と2ヶ月連続悪化した。
 景気の好・不況の分れ目を示す50を4か月連続で上回った。円安による有入原材料費のコスト上昇をマイナス要因にあげる声が目立つ。安倍政権誕生後、現状判断指数は4か月連続で上回っている。
 景気ウォッチャー調査は速報性が高く、景気の先行きを読むのに使われている。

 アベノミクスとマスコミは期待感を煽っているが、東京中小企業家同友会が発表した結果は、「悪い影響がある」と答えた企業は31.3%と、「良い影響がある」17.7%の2倍にも達している。