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   誰のための復興予算か !

  復興予算が被災地の復興・復旧に関係のない使われ方をしている。
 「自衛隊の装備費や訓練費」「中央官庁の出先機関(税務署庁舎など)の耐震改修」「公安調査庁のテロ対策費用」や「民間企業の事業費」「道路などの土建公共事業」などに復興予算が使われている。
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  復興・復旧と関わりのない事業を復興予算に潜り込ませる背景は、各省庁・官僚および政党・政治家が一般会計では予算が取れない事業を復興予算に潜り込ませ事業を実施するという「便乗要求」である。「税金」を思惑で流用する盗人的行為である。
 一方私たち国民へは25年分から復興特別所得税が課税され、49年までの25年間増税されつづけられる。
 「復興予算に群がるシロアリ官僚」「霞ヶ関の『血税ドロボー』」などと多くのメディアが報道している。
 政府は、東日本大震災の復興予算の使い道の検証作業に入るとしているが、そもそも被災地の復興と関係のない事業をドサクサに紛れて潜り込ませること自体問題であり、政治に最大の責任がある。
 復興予算に「便乗」したものなど、執行停止するのは当然である。すでに執行されたものについても返還させることが政治の責務である。そもそも原資は私たちの「血税」であるということを忘れてはならない。

  被災地企業は「二重ローン」に苦しむ

 民間企業の幹部は「被災地の復興とは全く関係がないが事業の申請をしたら予算がついた」と言い、被災地の企業は「何度も事業申請したが、“書類が不備だ”“復興計画が立たない”などと却下されつづけているという。何がそうさせているのか ? 官僚と政治家、官庁と政党の癒着構造そのものである。
 被災地にある企業のうち二重ローンで問題を抱えている企業は3分の1にのぼるという。壊された自宅を建て替えることも修復することもできず、仮設住宅や日本各地に避難したまま生活している被災者は数えきれない。生活再建や事業再生に全く手を差しのべていない現状だ。
 東北大学の震災研究センターが7月岩手・宮城・福島3県と青森八戸市に本社を置く3万社(金融業など除く)を対象に調査した。二重ローン問題では3654社(回答)のうち、震災などで直接被害を受けた企業は2626社と70%を超えた。
 震災後に復旧などのため金融機関から新たに資金を借り入れた企業は1637社。うち7割以上の企業は震災前との二重ローンで苦しんでいる。資金を借り入れることもできず復旧できない企業は調査すらできない数にのぼる。

  日銀一転 「景気判断下げ」

 日本経済はいつになったらデフレから脱却できるのか。個人消費の「息切れ」はいつまで続くのか
 日銀が地域経済報告で8地域の景気判断を一斉に引き下げるのは、リーマンショック後の全9地域引き下げ(2009年1月)以来3年9ヶ月ぶりである。
 中国・ヨーロッパの海外経済の減速や、エコカー補助金終了、日中関係の悪化などが主要な原因と評しているが、大企業や富裕層に富が集中し、国民総貧困化が日本経済を蝕んでいる。
 東京で開かれたIMF(国際通貨基金)・世界銀行年次総会で“貧困問題や金融投機の規制などの課題への取り組みが弱い”と市民団体から批判があがった。
 ギリシャでは増税や年金の削減で国民生活はどん底に陥っている。
 日本でも財政赤字を理由に「ギリシャになってもよいのか」と国民を恫喝しながら“税・社会保障の一体改革”法案が成立し、増税と社会保障の切り捨てが始まった。
 緊縮政策で国民のみが打撃を受けるのは明らかだ。
 経済成長や社会保障の原資を確保するため、正規雇用を義務付け、大企業優遇税制を廃止し、富裕層に負担を求めることこそ消費を拡大し、日本経済を活性化させる道である。
 経済は街角の景気から始まるのである。