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   菅野良三・関東財務局長が会見 ・ 関東甲信越

  菅野良三関東財務局長(大阪国税局長から8月22日付転任)は8月24日、さいたま市内で記者会見し、来年3月の金融円滑化法終了による中小企業への悪影響が出ないよう指導を強化する方針を示した。
 「金融円滑化法により中小企業はこれまで貸し付け条件の変更などを行ってきた。金融円滑化法終了期限到来にむけて“出口戦略”として、金融機関はコンサルティング機能の発揮、中小企業再生支援協議会との連携強化などを求めたい。中小企業へのマイナスの影響がないよう指導する。」と明言した。
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  これは、デフレ不況下、経営不振に苦しむ中小企業に対し、借入金の返済猶予・条件変更に応じるよう金融機関に課してきた法であり、多くの中小企業が倒産せず救済されてきた。
 この金融円滑化法が来年3月終了すると、金融機関は通常返済を求めたり、条件変更を終了したりし、中小企業の大量倒産に陥ることを懸念したものである。
 財務局長が懸念を表明し、金融機関に「中小企業へのマイナスの影響がないよう指導」しても、金融機関は不良債権(予備軍)の貸し剥し、回収強化に走ることは予測される。中小企業の緊急な対応は、金融円滑化法の終了にむけ“返済猶予”の継続、“返済条件変更”の継続を金融機関に強く申し入れていく必要がある。
 また、菅野良三関東財務局長は関東甲信越地域の景気状況について、「7月に発表した4~6月期の経済情勢報告では“緩やかに持ち直している”として前の期に比べ上方修正した。足元でもこの状況は大きく変わっていないと認識している。最近の景気は復興需要などが支えている部分ある一方、海外景気後退リスクや電力制限があるので注視していく必要がある。」とした。

  景気判断 ・・・ 下方修正

 一方、政府は8月の月例経済報告で景気の基調判断を10ヶ月ぶり引き下げる方針を固めた。
 日本経済は復興需要を背景に緩やかな回復を続けてきたが回復ペースは鈍くなっており、景気の先行きに不透明感が強まっている。欧州債務危機、中国などの海外経済の減速感が強まり、輸出の減少を通じて企業の生産活動に下押し圧力が強まっているためとした。
 弱い動きがみられるのは「生産」や「輸出」で、いずれも判断を引き下げる方向だ。

  景気見通しに「不確実性」

 日銀の白川方明総裁は8月24日講演会と記者会見を行い、日銀の景気や物価見通しについて「不確実性がある。」と語った。
 欧州債務問題が「世界、日本経済にとって最大のリスクだ。」と指摘。10月にまとめる経済・物価情勢の展望(展望リポート)で慎重に点検する姿勢を示した。

  街角景気、先行き悪化を懸念

 内閣府が8月8日発表した7月の景気ウォッチャー調査によると、経済活動を映す「街角景気」の先行き判断指数は前月比0.8ポイント低い44.9と3ヶ月連続悪化した。エコカー補助金が8月にも終了し、自動車販売の反動が懸念されている。先行き懸念は今後の生産面にも影響する。
 街角景気の現状判断指数は前月比0.4ポイント高い44.2。気温の上昇で夏物衣類や飲料などが売れて4ヶ月ぶりに改善したものの好不況の分かれ目である「50」を3ヶ月連続で下回った。
 消費税増税が決定した影響について、「確実に住宅駆け込み需要が発生する」と期待する半面、消費意欲の低下を警戒する向きが多い。