中小企業への再生支援急げ ! 2009年12月に施行された「中小企業金融円滑化法」は、中小企業の資金繰りを支援するため、財務内容に懸念がある場合でも正常債権に区分し融資を行ってきたが、同・円滑化法は来年3月に終了する。 |
中小企業金融円滑化法はリーマン・ショック後、中小企業融資が滞らないよう導入された。
返済や財務内容に懸念があっても、経営改善が見込めるようなら正常債権に分類し、融資を行ってきた。
景気の低迷にあえぐ中小企業の多くは、融資を受けても返済条件を繰り返し変更し、実体は不良債権予備軍となっている。
中小企業金融円滑化法が終了すると、中小企業向け融資の一部は不良債権化し、銀行の貸し渋り、貸しハガシが再びはじまり、消費税増税と重なり多くの中小企業が倒産へと追い込まれる恐れがある。
政府・銀行は、不良債権化の懸念がある中小企業の支援強化に向け、官民一体となった対策を早急に打ち出す必要がある。
5月の倒産件数増加 中小企業目立つ
東京商工リサーチが6月8日発表した5月の全国の企業倒産件数(負債額1000万円以上)は前年同月比7.1%増の1148件となり、3ヶ月ぶりに前年同月を上回った。
製造業の倒産が1年4ヶ月ぶりに増加するなど10産業のうち7産業で増加した。
借入金の返済を猶予する「中小企業金融円滑化法」が終了する来年3月末を見据え、銀行が貸し出しを姿勢を厳しくしていることが背景にある。
負債総額は11.8%増の2825億5800万円で中小企業の倒産が目立った
東京商工リサーチは、中小企業金融円滑化法で借入金の返済条件を変更した企業は全国で30万~40万社に上ると推計している。今後「業績の改善が遅れている企業の倒産が増える可能性がある」と予測している。
大企業の景況感も悪化
財務省と内閣府が6月11日発表した4~6月期の法人企業景気予測調査によると、大企業全産業の景況判断指数はマイナス3.1となり、3期連続で悪化した。製造業の指数はマイナス5.7となっている。
円高や株価下落、エコカー補助金の効果一巡に加え欧州債務危機や海外需要低迷が影響している。
景況判断指数は、現在の景況が前期に比べて「上昇した」と回答した企業の割合から、「下降した」と回答した割合を差引いた値。
先行きに関して財務省は「復興需要を背景に緩やかな回復基調が続いている」指摘しているが、復興需要の恩恵は中小企業にまでは来ていない。
街角景気 5月も悪化
内閣府が6月8日発表した5月の景気ウォッチャー調査によると、経済活動を映す「街角景気」の現状判断指数は前月比3.7ポイント低い47.2となり2ヶ月連続の低下で、好・不況の分かれ目である「50.0」を割り込んだ。復興需要に期待する声も根強いが景気の先行きには不透明感が漂っている。
足元の景況感は、判断指数を構成する3分野(家計・企業・雇用)のすべてが低下した。