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  個人消費 回復せず   投資も弱さ

  8月15日内閣府は2016年4~6月期の国内総生産(GDP、季節調整済)速報値を発表した。物価変動の影響を除いた実質で0.04%増、年率換算で0.2%増の微増であった。
 アベノミクス不況で、GDPの6割を占める個人消費は0.2%増の横ばい。しかも、生活実感に近い名目値では0.1%減であった。 生活苦から買い物を切り詰めたものの、それ以上に物価が下落したため実質でプラスになった。 デフレによって実質個人消費がプラスになった格好だ。
   人通りがない商店街・・・・・
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 個人消費の伸び悩みを受けて企業の設備投資は0.4%減で2期連続のマイナスとなった。個人消費が低迷する下で内需に期待できないとして企業が設備投資を減らした結果だ。

 「デフレからの脱却」を金看板としてきたアベノミクスが、逆にデフレによって実質個人消費がプラスに。 ・・・ 「企業の税負担を減らせば、設備投資や賃金は増える」との安倍内閣の政策はまったく失政であったことが明らかになった。

 GDPのマイナス転落を防いだのは公共事業だ。 予算の早期執行が日本経済の低迷の穴埋めをする歪んだ構造となっている。

 「際限もない赤字国債」 「超低(マイナス)金利」 「膨張する国家予算(財政赤字)」 ・・・戦前、軍国国家へと突き進んだ1936年の二・二六事件前夜の経済状況に似ている。

 再び戦争への道を進めてはならない。

   経済状況の著しい劣化

 実体経済は深刻だ。日本の経済状況は非常に劣化している。 GDPの最大の項目である個人消費は、雇用の不安定化や低賃金、社会保障の切り捨てによって低迷し、中小企業や農林水産業も弱体化している。
 経済システムも歪み始めている。 金融市場の混乱によって金融機能がマヒし、さらに、日本銀行が政府の下請け機関化したことで日銀に対する信頼がなくなった。
 加えて、巨額の財政赤字の問題だ。 アメリカの格付け会社は日本国債の格付けを引き下げ始めている。
 国際通貨基金(IMF)は対日審査の年次報告書で、アベノミクスについて「弱い消費、低調な民間投資、低迷する輸出を背景に、成長は弱く、デフレは根強く残っている」 金融緩和についても「より緩和的でより長期にわたる金融緩和が潜在的なリスクを増加させている」と指摘している。

 実体経済の劣化は、生活不安や社会不安、政治不安につながり、より劇場的に、より過激的になりかねず、国民の権利や自由、民主主義と対立する。

   休廃業・解散が高水準   中小企業

 中小企業数は激減している。 1986年の約533万業社から2014年は約381万業社と28.5%減少した。
 同期間に小規模事業者は約477万業社から約325万業社と31.9%激減した。
 日本の中小企業数は全企業数の99.7%を占め、3分の2の労働者が働いている。
 中小企業は日本経済の根幹であり、「社会の主役として地域社会と住民生活に貢献」(中小企業憲章)しているのに。

 今、中小企業を中心とした地域経済は空洞化し衰退している。 多くの中小企業が国の政策、国の支援の外に置かれ、整理・淘汰の対象とされてきた。 市場競争力のある強い企業のみが生き残れる社会だ。

    負担は増加・給付は削減  低所得者・さらなる「悲鳴」

 介護保険施設やショートスティを利用する低所得者の食費や居住費の負担が8月から増加する。
所得の低い人への負担軽減を行う「補足給付」(特定入所者介護サービス費)の収入算定に遺族年金と障害者年金の収入が加算されるためだ。 最大で3万円以上の負担増となり、約15万人に影響が出るとの試算だ。
 政府は、補足給付の切り捨てにより公費で年390億円、給付費で700億円の削減を見込んでいる。
 「補足給付」は、住民税非課税の入所者に対して、3段階の負担限度額を設けている軽減措置で、遺族年金と障害者年金は非課税のため、収入判定からは除外されていた。

 遺族年金と障害者年金はもともと社会給付であり、収入(所得)ではない。それを収入と判定替えするだけで給付を削減する政府の考え方、異常といえる。

 「補足給付」を巡っては、昨年の8月から入所者の預貯金などや配偶者の所得などが勘案され、補足給付が打ち切られたり、負担増が強行されたばかりだ。

 貧乏人、要介護者、老人は生きていけない時代になっていくのか ?