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   子育て世代  高齢者世帯  特に厳しい

 厚生労働省が7月12日国民生活基礎調査結果(2015年)を発表した。生活が「苦しい」と答えた世帯が6割を超え、貧困化が高水準で進行していることが明らかになった。

 生活が「大変苦しい」27.4%  「やや苦しい」32.9%  あわせて「苦しい」と答えた世帯が60.3%に達した。

 1990年代では「苦しい」との回答は3割台であったが、1998年には5割を突破。2014年からは6割を超え続けている。

 子供がいる世帯では63.5%が「苦しい」と回答。 高齢者世帯より5.5ポイント高水準だ。
 1世帯当たりの平均所得で100万円未満が6.4%も占め、 100万円から400万円未満が4割、 平均所得541万9000円以下は61.2%を占めている。

  毎日の食費に悩む生活
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 高齢者世帯数は1271万4000世帯と全世帯の25.2%、 一人暮らし高齢者世帯も624万3000世帯と過去最高を更新、 199万円以下の高齢者世帯は40.7%に達している。

   介護保険料滞納で  差押・給付制限

 介護保険料を滞納し、市町村から差押処分を受けた高齢者が1万0031人、給付制限を受けた人も1万3263人(延2万3千人超)に達した。

 介護保険制度導入(これで老後は安心と政府は説明)後、介護保険料は天井知らず(2倍から3倍)に引上げられた結果、命の綱である介護保険料を払いきれない人が年々増加。  払いきれない理由は、高すぎる介護保険料にある。
 しかし市町村(市町村は国から介護保険料の徴収・給付を押し付けられている)は、介護保険料の滞納を理由に、年金受給を含め資産の強権的に差押徴収、給付サービスの取り上げを行っている。

 介護保険制度の機能不全から「自助自立」・「在宅老々介護」・「介護サービス取り上げ」が強行され、介護殺人や介護苦自殺が社会問題化している。 行政は“徴収・取立”・“サービス取り上げ”が仕事となっている。

 介護保険料は全国平均で年額6万6000円程度。 2025年には年額平均9万8400円に跳ね上がる見込みだ。 高齢者は3人に2人が住民税非課税で、介護保険料の負担が生活困窮の大きな要因になっている。  年金額が年額18万円未満の高齢者では払える金額ではない。

 世界では、“難民は入って来るな”・“国境に強固な壁をつくる”と言った弱者を排他する主張が広がっている。 日本では“姥捨て山を造れ”と主張が出てくることにもなりかねない。

    「消えた年金」  今度は “消した年金” 5兆円

 「消えた年金」・・・最後の1人まで・・・と豪語していた消えた年金  結果の報告も何もなくうやむやのうちに放置している政府。

 今度は“消した年金”が問題となっている。

 「アベノミクス」・株価つり上げのために年金積立金をギャンブルのごとく注ぎ込み5兆数千億円の損失(年金積立金を消した)を2015年度で出した。

 年金積立金は債権と株式で運用している。 安倍政権はアベノミクス株髙演出のために株式運用比率を24%から50%に引上げた。 国民の拠出である年金・国民が払った保険料は約140兆円。老後の年金保障が目的である。 これをギャンブルに使い、自分の成果にしようとした。 その結果が5兆数千億円の“消した年金”である。

 衆院予算委員会では「想定の利益が出ないなら、当然、支払に影響する。給付に耐える状況にない場合には、給付で調整する」と年金減額にまで言及している。 年金保険料の引き上げまで想定している。 政府の責任は重大である。

 アメリカでも公的年金は、株式運用はできないというルールがある。当たり前のことであり、国民の年金を使った株価つり上げ・アベノミクスは邪道である。

 国民の財産である年金の積立金を株式と言うリスクの高いギャンブルにさらしてきた運用は即刻改めるべきである。

    強欲資本主義

 この30年、資本主義は大きく変化してきた。新自由主義の政策イデオロギーが現実政治に浸透し、金融と規制緩和が進んだ。 ファンドマネーが世界を駆け巡る「株式資本主義」が出現した。
 安定的な雇用関係が崩壊し、労働者の状態は19世紀に逆戻りしたかのように悪化した。
               強欲資本主義の時代とその終焉 森岡孝二著 より